腸内カビに注意 増えると…便秘、下痢、副鼻腔炎、うつなど全身の不調を引き起こす

2024年08月16日 05:30

社会

腸内カビに注意 増えると…便秘、下痢、副鼻腔炎、うつなど全身の不調を引き起こす
おなかのカビ・チェックリスト Photo By スポニチ
 芸能界一、健康に詳しいアナウンサー生島ヒロシ(73)が、シニアに向けて元気に生きる方法を指南する連載「誰も教えてくれなかった“老いるショック”脱出術 オヤジの処方箋」。今回は「腸内のカビが引き起こす病気」について取り上げます。
 皆さん、こんにちは、生島ヒロシです。パリ五輪、日本選手が大活躍でしたね。自分も頑張るぞ!と気持ちは盛り上がっても、体が付いてこない。どうも体調が悪い。そんな方も多いと思います。実はそれ、腸内の「カビ」のせいかもしれないんですって。「おなかのカビが病気の原因だった」(ユサブル)の著書がある北九州市の葉子クリニック院長、内山葉子先生に教えていただきましょう。

 内山先生、腸内細菌という言葉はよく聞きますが、おなかの中にはカビもいるんですか?
 「腸内細菌叢(そう)の約1%はカビと言われています。カビは味噌、こうじなどの発酵食品のように昔から日本人にはなじみがあり、ビタミンを作ったり、ミネラルの吸収を助けてくれたりと、いい役割があります。1%程度にとどまっていれば問題ありません」

 増えると悪さをするんですね。
 「代表的なのは“カンジダ”というカビ。膣(ちつ)カンジダという病気で知られています。カビは増殖するときある種の酵素を出します。腸内ではその酵素が腸の壁に炎症を起こして、有害な物質が漏れ出していく“リーキーガット症候群”になると考えられています。便秘や下痢など消化器の症状、勃起障害など生殖器系の症状、腹部膨満感、低血糖、副鼻腔(びくう)炎、さらにパニック障害、うつなども引き起こすと言われます」

 ほぼ全身の病気ですね。カビを増やさないためには、どうすればいいでしょうか。
 「腸内細菌叢は細菌、カビ、ウイルス、寄生虫も含めて構成されています。まずは、そのバランスを崩す薬品の取り過ぎに注意してください。最大の原因は抗生物質です。日本では風邪で処方されることも多いですが、抗生物質は細菌の細胞壁を攻撃する薬。風邪はウイルスが原因なので、風邪自体の治療に効果は期待できません。カビも攻撃しません。抗生物質で細菌だけが死んでしまい、腸内細菌叢のバランスが崩れて、カビが増えるリスクになるのです」

 本当に必要なとき以外は抗生物質はなるべく取らない方がいいんですね。
 「胃酸を抑える薬、制酸剤の取り過ぎも要注意です。逆流性食道炎などで処方されますが、これを長期間飲んでいる方がいます。胃酸があれば、外部からの有毒なものを腸へ入れにくくしてくれます。胃酸が減ると未消化物が腸に入り、腸内環境の乱れにつながるのです。ステロイド剤の長期間使用や、抗がん剤での治療で免疫が落ちている方もカビが増殖する腸内環境と言えます」

 腸ですから、食べ物の影響もありますか?
 「カビの栄養源は主に炭素。砂糖を使ったスイーツなどの炭水化物の食べ過ぎ、砂糖入りの清涼飲料水の飲み過ぎは、カビが増殖するエネルギーとなります。小麦、乳製品はリーキーガットを起こす食材の代表格。パンもできるだけ控えた方がいいですし、牛乳やヨーグルトは“健康のために毎食取るもの”ではなく、“おやつ”のような感覚で取るのがいいと思います」

 防カビ剤使用という果物はどうでしょう。
 「防カビ剤を使っているということは、カビが発生しやすいということ。オレンジ、グレープフルーツ、バナナなどの輸入フルーツは、これ以上体内にカビを入れないためにも注意してください。ナッツ、コーヒー豆などもカビが発生しやすい食品です」

 カビといえば、お風呂の黒カビをイメージしますが。
 「住環境も大事です。お風呂のカビ対策、エアコンのクリーニングもしっかりと。読まない本や雑誌、必要のない敷物、水はけのよくない観葉植物など、カビが発生しやすいものは家に置かないと心がけてください」

 カビの退治法はありますか?
 「退治するというより、コントロールするという意識を持ってください。抗真菌薬で一度に殺すと、カビの細胞壁が壊れ、中からカビ毒のマイコトキシンなど有害物質が大量に放出されます。これが体内に吸収され血液中に入ると、発熱、湿疹、頭痛、嘔吐(おうと)などの症状が現れます。また、細胞内にあってエネルギーを作り出すミトコンドリアがダメージを受け、動けなくなる人もいます。これらを“ダイオフ現象”と言っています。カビは一挙に減らさず、ニンニクや梅肉エキス、りんごを発酵させたりんご酢など、抗真菌作用がある食材を取り入れるなどしてコントロールすることが大事です」

 高温多湿の夏は、カビにとっては最高の季節。特に今年はこの酷暑。内山先生は「甘く冷たい飲み物をたくさん取りがちで、カビが増えやすい」と注意喚起しています。「おなかのカビ・チェックリスト」を掲載しますので、現状を確認してみてください。カビは私たちの体に欠かせないものですから、うまく共存していきましょう。

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