終戦79年 戦没者追悼式に4000人参列 遺族、戦後生まれ半数近く 問われる継承 各地で祈り

2024年08月16日 05:30

社会

終戦79年 戦没者追悼式に4000人参列 遺族、戦後生まれ半数近く 問われる継承 各地で祈り
全国戦没者追悼式でお言葉を述べられる天皇陛下と皇后さま=15日午後、東京・日本武道館 Photo By 共同
 終戦から79年となった15日、政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で行われた。遺族約3千人など計4千人余りが参列。追悼の辞で遺族代表は、戦火が絶えない国際情勢に「一日も早く平和を」と願った。事前に参列意向を示した遺族は戦後生まれが約47%で、惨禍の記憶や教訓の継承の在り方が問われている。各地も鎮魂の祈りに包まれた。
 9月の自民党総裁選への不出馬を表明した岸田文雄首相は3回目の参列。式辞では今年もアジア諸国への加害責任に触れなかった。昨年までの「積極的平和主義」の文言は使わず「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化を進める」と述べた。

 正午の時報に合わせ、全員が黙とう。天皇陛下はお言葉で「過去を顧み、深い反省の上に立ち、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」と読み上げられた。遺族代表で、父親が出征先で命を落とした福島市の安斎満さん(86)は「世界では今なお戦争が絶えることなく多くの犠牲者が出ており、一日も早く平和が実現することを祈る」と追悼の辞を述べた。

 最高齢の参列は北海道の長屋昭次さん(97)で、兄が戦病死した。最年少で東京都の酒井清凪さん(3)は硫黄島に赴任した高祖父が戦死した。

 式は昨年まで新型コロナウイルスの感染防止のため縮小開催していたが、今年は5年ぶりの通常開催となった。奏楽のみだった国歌も斉唱した。

 この日は各地でも追悼行事が行われた。出征した父を亡くし、名古屋市の式典に参加した林芙美子さん(83)は追悼の辞で「世界での悲惨なニュースを耳にするたび、心が痛む」と憂いを口にした。大津市では、平和を祈って寺や教会で正午に一斉に鐘を鳴らした。市遺族連合会の小林俊造さん(80)は「父が犠牲になり、子どもの頃から寂しい思いをしてきた。若い人には戦争があったことを決して忘れてほしくない」と話した。

おすすめテーマ

2024年08月16日のニュース

特集

【楽天】オススメアイテム