異例の呼びかけ…岸田首相「お気兼ねなく堂々と」で早速閣僚4人出馬意欲

2024年08月16日 05:30

社会

異例の呼びかけ…岸田首相「お気兼ねなく堂々と」で早速閣僚4人出馬意欲
千鳥ケ淵戦没者墓苑を訪れ、献花に向かう岸田首相=15日午前、東京都千代田区 Photo By 共同
 9月の自民党総裁選への不出馬を表明した岸田文雄首相が15日、官邸で開いた閣僚懇談会後、出馬に意欲を見せる閣僚がいる状況を踏まえ「お気兼ねなく堂々と論戦を行ってほしい」と述べた。林芳正官房長官が記者会見で明らかにした。首相が閣僚にこうした呼びかけを行うのは異例。
 不出馬を伝え謝意を示した首相は、新総裁選出まで緊張感を持って職務にあたるよう指示。その上で「総裁選に名乗りを上げることを考えている方もいると思う。お気兼ねなく、職務に支障のない範囲で堂々と論戦を行ってほしい」と述べた。

 首相が自ら鳴らした号砲。閣僚からは、まさに気兼ねなく前向き発言が相次いだ。

 岸田派に所属し表立って意欲を口にしてこなかった上川陽子外相がギアをアップ。外務省で「何をすべきか熟慮した上で決断し、行動に移す覚悟だ」と話した。外交手腕を評価する麻生太郎副総裁が1月の講演で「このおばさんやるねえ」と発言し脚光を浴びると、裏金事件で逆風にあえぐ党内で「選挙の顔は初の女性首相」と期待値が赤丸急上昇。しかし、5月の静岡県知事選の応援演説で「女性がうまずして何が女性でしょうか」と発言し失速。この日は、禅の言葉を引用し「今の心境は“現成受用”」とし、「世界の動きを虚心坦懐(たんかい)、率直に受け止め、全力で取り組んでいくことを心に決めている」と力を込めた。

 斎藤健経済産業相もスイッチオン。会見で14日から15日にかけ「“出るべきだ”“あなたしかいない”みたいな声が多く寄せられた」と明かした上で「そういう声を真剣に聞かないといけないと思い始めている」と述べた。7月中旬には否定的な考えを示していた。

 3年前に続く出馬への思いを強くにじませてきた河野太郎デジタル相は会見で「外交・安全保障、防災危機管理など日本が抱える大きな課題を担当してきた。いつかこの経験を生かせる日が来ればいいと思う」と言及。同じく3年前のリベンジをうかがう高市早苗経済安全保障担当相は靖国神社参拝後、「仲間と力を合わせ日本を強く豊かにし、次の世代に引き渡す使命を負っている」と従来の発言より踏み込んだ。

 岸田派座長で候補として名前が挙がる林氏は、岸田路線継承者として出馬する考えはないか聞かれたが「コメントは差し控えたい」と繰り返した。

 不出馬表明翌日に閣僚19人のうち4人が意欲を見せる事態。首相が再選を目指していれば出馬は難しく、くびきが解かれ、本音があふれ出した格好だ。

 ≪小林氏&小泉氏 靖国神社参拝≫総裁選への出馬が注目される40代の若手2人は15日、靖国神社を参拝した。小林鷹之前経済安保相は岸田首相の不出馬表明について記者団に「重く受け止めている」とし、自身の総裁選への対応に関しては「政治家としての力を高めるに尽きる」と述べるにとどめた=写真<右>。小泉進次郎元環境相は記者団の問いかけには応じなかった=同<左>。小林氏は立候補に必要な推薦人20人にめどを付けたと関係者が明らかにした。

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