いつまでも体罰がなくならへんのは処分が甘いからや 「身内」びいきやなく、こども第一で考えて

2022年12月28日 20:00

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いつまでも体罰がなくならへんのは処分が甘いからや 「身内」びいきやなく、こども第一で考えて
鳥内秀晃氏 Photo By スポニチ
 【名将・鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】相変わらず、世の中、納得のいかんことが多いな。静岡県裾野市の保育園で保育士が園児に虐待した事件あったやん。関わったとされる3人が逮捕されて(26日に処分保留で釈放)、最初は顔写真も実名も出とったけど、何で学校で起きた体罰事件は逮捕もされへんし、実名も、顔写真も発表されへんの?
 体罰って、同じことが学校の外で起きたら、立派な傷害事件やろ。昭和の時代ならともかく、いろんなことが厳しくなった令和になっても、暴力をふるう教師がいるのが信じられんな。ニュース見てると、「暴力はあかん」って教えられてきた若い先生まで手をあげてるって、どういうことや。しかも、罰も受けず、何かに守られてるのは腑に落ちんわ。

 大阪・桜宮高のバスケット部で起きた体罰問題※から今年で10年。文科省の統計によると、体罰による教師への処分は、ピークやった2013年に4000件以上あったのが、2年前には500件弱にまで減ってきてるわ。数自体は少なくなってても、完全にはなくなってへんし、表面化してなかったり、泣き寝入りしてるケースも含めたら、この数字は氷山の一角と見るべきやろな。

 先日、教職員向けの「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂されたニュースがあったな。けど、「他の児童、生徒らの前で叱責する」が禁止条項って、当たり前の話やで。今さらの項目を加えるんやなくて、教師が体罰したら、すぐに校長が警察を呼んだらええんちゃうの。校内暴力が全国的に横行した当時、生徒が手を出したり、暴れたら警察を呼んどったのに、先生が同じことしても学校は動かへんって、おかしな話やな。問題を解決するために何が必要か、文科省にちゃんとした認識はあるんやろか。

 教職の免許を取るためには、当然教育学を勉強するやん。40歳で免許を取ったオレは「特別活動と人間形成」(山口満、安井一郎編著 学文社)という本で学んだんやけど、みんな同じように勉強してるのに、何で体罰するんか全く理解できひんわ。試験とかレポートをこなすだけで、大事な人の命を預かっている自覚があるのか、疑問やな。

 やっぱり、文科省、スポーツ庁、それから教育委員会の処分が甘いから、この問題は後を絶たへんのやと思うな。体罰教師が逮捕されて、有罪になったら、有無を言わさず教員免許を剥奪したらええんちゃうの。そうせんと、体罰は永遠になくならへんで。一体、誰のためにやってんの? 一番考えなあかんのは、子供のためやろ。彼らの成長を助けるためにやらなあかんのに、身内を救うことばっかり優先してるわ。それから教師や指導者は、子供にちゃんと「教え」たってほしいな。何かができひんかったり、分からへんのやったら、しっかり言い分を聞いてやって、言葉で伝える努力せな。頼むで、ホンマ。(関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

 ※バスケットボール部の男子生徒(当時2年)が、顧問だった元教諭の男性(懲戒免職)から日常的に暴言、暴行を受け、それを苦にして2012年12月23日に自殺。

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