【世界陸上】田中希実が5000m日本新「一緒に苦しみ抜いて」チーム解散まで考えた激動の数日間

2023年08月24日 05:31

陸上

【世界陸上】田中希実が5000m日本新「一緒に苦しみ抜いて」チーム解散まで考えた激動の数日間
田中希実(ロイター)
 女子5000メートル予選2組で田中希実(23=ニューバランス)が日本新記録の14分37秒98で6位に入り、3大会連続で決勝進出を果たした。21年に東京五輪で広中璃梨佳(22=日本郵政グループ)が出した14分52秒84を14秒86も上回る大記録で、自身初の同種目での入賞を視界に捉えた。
 ブダペストでの数日間は激動だった。20日の1500メートル準決勝で敗れ、チームで話し合いの場を持ったという。地力がさらについた中での悔しい敗退を経て、田中は「力の借り方が自分自身、下手で、誰のことも傷つける言動をしてしまうので、お互い傷つけ合いながら支え合い、ではなかった。それでも一緒に苦しみ抜いてくださった方がいたことでスタートラインに立てた」と振り返る。

 父・健智コーチは「何をやっても“むなしい”としか言わなかった。これだけやってても燃えることがないというか、気持ちがむなしいと。レース前からそういう状態だった」と言う。「レース前にマイナスなことを言っていたらみんなも疲弊する」と娘に説得した父は「チームを解散する。この世界選手権で区切っても良い。自らチームをつくり直せ」と突き放したという。

 田中は徐々に冷静さを取り戻していった。「自分自身が見えなくなっていた。1500メートルで足元が見えだした。人の言葉に耳傾けるようになった」と健智コーチ。田中も「もっと人として成長しして、おんぶに抱っこじゃなくて自分でも大丈夫だと見せられる選手になりたいと改めて思った」と言い「帯同してくださった方、日本陸連のコーチ陣も心配させてしまった。日本にいる人にも重いメッセージも。いろんな人を不快にさせたり心配させたりしてしまった」と振り返った。お互い本気だからこそのぶつかり合いを経て、衝撃の日本記録が生まれた。

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