なぜブロッコリーは筋トレ民に人気?タンパク質の豊富さに秘密が!【管理栄養士監修】

2023年09月12日 09:00

なぜブロッコリーは筋トレ民に人気?タンパク質の豊富さに秘密が!【管理栄養士監修】
筋トレに励むトレーニーの間でブロッコリーが話題だ。筋トレ効果をあげる野菜として鶏胸肉同様、トレーニーの食事にはかかせない食材になっているらしい。なぜなら、ブロッコリーには筋肉をパワーアップするために必要な栄養素が豊富に、 […]

筋トレに励むトレーニーの間でブロッコリーが話題だ。筋トレ効果をあげる野菜として鶏胸肉同様、トレーニーの食事にはかかせない食材になっているらしい。なぜなら、ブロッコリーには筋肉をパワーアップするために必要な栄養素が豊富に、しかもバランスよく含まれているからだ。

今や常識となりつつある「筋トレ&ブロッコリー」のマッチョな関係。トレーニーに愛される理由を、数々の健康・栄養本の監修をつとめる管理栄養士の赤石定典さん(東京慈恵会医科大学付属病院栄養部)に聞いた。

ブロッコリーが筋トレに人気なのはなぜ?

「それはやはり、ブロッコリーがほかの野菜に比較して、筋トレに必要な栄養素が多く含まれているから。しかも筋肉を育てるにも有効な成分を含んでいます」と赤石さん。なかでも筋トレに効果的な栄養素は以下の3つで、これが人気の理由とのこと。

[1] ビタミンB1とビタミンB6、ビタミンCが豊富
[2] 野菜の中ではタンパク質が多い
[3] 男性ホルモンのテストステロンが含まれている

含まれる栄養素の多さから「野菜の王様」と呼ばれるブロッコリー。植物繊維やビタミン類、葉酸、鉄分やカリウム、マグネシウムなどのほか、筋肉に不可欠なタンパク質は野菜の中でみてもかなりの含有量を誇り、100gあたり4.3gも含む。

さらにビタミンCでは、レモンが100gあたり100mgなのに対し、ブロッコリーは100gあたり120mgでレモンよりも多い。

そして筋トレをするトレーニーたちがブロッコリーを食べ続ける最大の理由は、赤石さんも3つめにあげているが、ジインドリルメタンとI3C(インドール-3-カルビノール)という成分が含まれていること。これはアブラナ科の野菜に含まれる成分で、女性ホルモンのエストロゲンを抑え、男性ホルモンのテストステロンを増強する働きを持つ。

筋トレをするとこのテストステロンが増え、男らしさが強調されるといわれている。つまり、筋力の発達を抑えたり脂肪をためやすくして女性らしさを高めるエストロゲンが減り、逆に男らしさを高めるテストステロンが増えることでカラダが筋肉の発達しやすい状態になるというワケ。

これは筋トレ女子にも同様で、女性ホルモン優位で筋肉のつきにくい女性は、筋トレ前にブロッコリーを食べることで筋肉がつきやすい状態に整える効果が期待できる。

ブロッコリーはまさに、筋トレするトレーニーのための野菜だ。

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栄養素から考えた筋トレ×ブロッコリーのメリット

生のブロッコリー可食部100gあたりの主な栄養成分は、以下のとおり。低カロリーで高タンパクなうえ、多くの栄養素がバランスよく含まれている。

▲生のブロッコリー可食部100gあたりの主な栄養成分
(科学技術庁資源調査会編「五訂日本食品標準成分表」の数値をもとに筆者作成)

このほかにビタミン類では、糖分を分解するビタミンB1、脂質の分解をサポートするビタミンB2、筋肉を合成させる栄養素のビタミンB6も含まれる。これらは筋トレするトレーニーにとって欠かせない栄養素だ。

また、骨を育てるカルシウムが多いのも筋トレには必須。骨には筋肉を動かす働きもある。しかし、カルシウムの取りすぎは高血圧などの原因となる「カルシウムパラドックス」状態を引き起こすことも。

これを解消するには、マグネシウムをカルシウムと一緒に摂取するのが効果的なのだが、ブロッコリーにはマグネシウムの含有量も多く、まさにパーフェクト!

ブロッコリーは茎にも栄養たっぷり

ブロッコリーは可食部とされる房(つぼみ)の部分だけではなく、茎(芯)も房同様に栄養があり、ビタミンCは房よりも多く含まれるほどで、茹でても失われにくいのが特徴。

さらに注目の成分のスルフォラファンが含まれているが、これは解毒作用を高めて有害物質を体外に排出させる効果がある。むくみを抑え、引き締まったカラダやアンチエイジングに有効で、胃がんの原因になるピロリ菌を殺菌する効果も。

マッチョは健康にも気を遣うのである。

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おいしいブロッコリーの選び方と保存方法

ブロッコリーは晩秋の11月頃から春先の3月頃までが本来の旬だが、収穫時期をずらしながら通年で流通している。うれしいことに1年中食べられるのだ。ならば、せっかくならおいしいブロッコリーを食べたい。選ぶ際の見分け方やチェックポイントは?

「つぼみが密でまん中が盛り上がっているもの。それと、つぼみが紫色になっているブロッコリーを見つけたら即買い必須です。これはポリフェノールのひとつアントシアニンが含まれている証で、栄養、味ともにお得です」(赤石さん)

最近の研究で、ポリフェノールが筋肉量を殖やす効果が期待できるという発表もあり、つぼみが紫のブロッコリーは要チェックだ。では、保存方法のコツは?

「日に日にビタミンCが失われるので、保存する場合は、ブランチングしてからの冷凍保存がお勧めです」(赤石さん)

ブランチングとは、野菜を冷凍保存する際に行なう加熱処理のこと。ポイントは固めに茹でること。ビタミンCなど水溶性の栄養素をできるだけ損ないたくないという場合は、電子レンジでの加熱がオススメ。

600Wの電子レンジなら、100gにつき1分30秒〜2分でOK。また、普通サイズのブロッコリー1株(200g)なら3〜4分が目安だ。

ブロッコリーの栄養素がしっかり摂れる調理方法

 最後に、ブロッコリーの栄養素をまるごとしっかり摂取できる調理法とよりパワーアップしてくれる食べ合わせや食べるタイミングを赤石さんに紹介してもらった。

「ブロッコリーだけであれば、消化への負担は少ないので食べるタイミングは気にしなくてもよいですが、筋肉の修復や増強を狙うトレーニーの皆さんには、吸収率がアップする運動後30分のゴールデンタイムがやはりオススメですね」(赤石さん)

では、調理法やオススメの食べ合わせは?

「しっかり栄養ということであれば、低温蒸し一択です。通常、蒸し料理の温度は100℃ほどの高温ですが、低温蒸しは70℃程度の蒸気で蒸して食材の旨味や栄養価を最大限に引き出す調理法です。やり方も簡単で鍋で、蒸す際にフタをずらして蒸すだけです。こうすることで、低温で蒸されるためブロッコリーの大切な成分であるスルフォラフォンも摂ることができます」(赤石さん)

「食べ合わせとしては、タンパク質とブロッコリーはよい組み合わせですからやはり、鶏肉などの肉類がよいでしょう。糖質も摂るのであれば、豚肉とブロッコリーをオススメします」(赤石さん)

筋トレを意識した食べ方としては、トレーニング後30分のゴールデンタイムにタンパク質と一緒に食べるのがベスト。さらに素朴なギモンとして、もしもブロッコリーを食べ過ぎたらカラダに悪いのかを赤石さんに聞いてみたところ……。

「野菜なので食べ過ぎの心配よりも、食べ過ぎてほかの食材が食べられなくなることは避ける!」

とのこと。いくらマストといえどブロッコリーばかり食べずに、ほかの食材とともに適量をバランスよく食べること。シンプルであたりまえだが、これが筋肉にも健康にも基本なのだ。

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[監修者プロフィール]
赤石定典(あかいし・さだのり)
管理栄養士。1991年3月、学校法人華学園栄養専門学校を卒業後、4月より東京慈恵会医科大学附属病院栄養部に勤務。管理栄養士として栄養管理や栄養の重要性を広く伝えるために書籍監修、メディア出演にも関わる。

<Text:京澤洋子(アート・サプライ)>

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