【前相撲】ウクライナ出身・ダニーロが初土俵「安青錦 新大」しこ名に込められた母国への思い

2023年09月12日 10:17

相撲

【前相撲】ウクライナ出身・ダニーロが初土俵「安青錦 新大」しこ名に込められた母国への思い
<大相撲秋場所・3日目>勝ち名乗りを受ける安青錦(撮影・藤山 由理) Photo By スポニチ
 【大相撲秋場所3日目 ( 2023年9月12日    東京・両国国技館 )】 今場所の新弟子検査に合格した1人と、先場所合格した1人、再出世を目指す番付外の4人の計6人による前相撲が始まった。
 先場所の新弟子検査に合格したウクライナ出身のダニーロ・ヤブグシシン(19=安治川部屋)は「安青錦(あおにしき)」のしこ名で初土俵。今場所の新弟子の山田(17=伊勢ノ海部屋)を相手に、右前ミツを引いて頭をつけて寄り切って快勝した。

 初めて上がった国技館の土俵。「ずっとYouTubeとかで見ていたところなので、本当に最高です」。憧れ続けた舞台に立ち、力士として大きな一歩を踏み出した。

 世界ジュニア選手権中量級3位の実績を持つ安青錦は、昨年4月に来日。母国ウクライナがロシアによる軍事侵攻を受けて練習拠点や安全に生活できる環境を失い、世界選手権(19年10月、大阪開催)の時に知り合った山中新大さん(当時・関大相撲部)を頼って日本へ避難してきた。それから山中さんの実家で一緒に暮らし、関大相撲部などで稽古を積んだ。現在、両親はドイツで、兄はウクライナで生活している。離れて暮らす家族とは日々連絡を取り合っており「家族のために頑張りたい。助けたい」と話していた。

 しこ名は「安青錦 新大」。「新大」は日本でともに生活し「いっぱい助けてくれた」という恩人の山中さんからもらった。「安青錦」の安と錦は師匠の安治川親方(元関脇・安美錦)から。「青」は「ウクライナ(の国旗)には青が入っている。自分の目も青いので」と故郷にちなんだ文字を入れた。

 1メートル80、125キロの筋肉質な体つきは、若い頃の元大関・栃ノ心をほうふつさせる。前ミツを引いての力強さに加え、レスリング仕込みの低い体勢で前に出る力も併せ持つ。既に相撲教習所の稽古では一番強く、8月下旬の稽古では大学トップレベルの選手を圧倒していた。今後の目標は一日も早く関取になること。「親方が21歳で関取になったから、22歳になるまでには関取に」。戦禍に苦しむ母国へこれから活躍を届け、故郷に「錦」を飾る。


 ◇安青錦 新大(あおにしき・あらた)本名=ダニーロ・ヤブグシシン。2004年(平16)3月23日生まれ、ウクライナ・ビンニツァ出身の19歳。幼少期から相撲、柔道、レスリングに取り組む。19年世界ジュニア相撲選手権大会中量級(100キロ未満)3位。21年欧州相撲選手権100キロ未満級優勝。22年4月に来日し、関大相撲部で稽古。22年12月、安治川部屋に入門。1メートル80、125キロ。

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