【ラグビーW杯】堀川隆延氏が分析 ジャパン快勝発進呼んだ好守のポイント

2023年09月12日 05:20

ラグビー

【ラグビーW杯】堀川隆延氏が分析 ジャパン快勝発進呼んだ好守のポイント
<日本・チリ>激しくタックルする松田(下)と抑え込むコーネルセン(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【ラグビーW杯1次リーグ   日本42―12チリ ( 2023年9月10日    トゥールーズ )】 【ジョセフHC“参謀”堀川隆延 深堀り】これぞジャパンのラグビーだ。日本がチリを42―12で下した一戦を、静岡ブルーレヴズでアシスタントコーチを務める堀川隆延氏(50)が分析した。攻守ともに数字上でも効率良く行ったことを高く評価。またSO松田の復調、ファカタヴァら故障者の復帰は大きな収穫で、イングランド撃破への道筋も示した。
 日本は勇気を持って勝ち点5を狙い、前半から敵陣ペナルティーでもセットプレーを選択。攻めの姿勢は最後までブレることなく、6トライ6ゴールで快勝した。7、8月の6試合で見えたさまざまな課題を改善し、イングランド戦に自信を深める結果になったと思う。

 敵陣に入るまでの過程は、キックとラン(ラック)のバランスが絶妙だった。割合はキック1回あたりラックが2・76回。数字が多いほどボールを持ち過ぎて体力を消耗していることになるが、日本が目指す数値は3以下。自陣や中盤で無駄に攻めることなく、効果的にフィールドポジションを支配したことが、ゲーム全体を支配することにつながった。

 防御でも効果的にキックを使って相手FWを下げ、攻撃に対しても鋭く前に出てプレッシャーをかけ続けた。ボール保持率はチリが56%と上回ったが、ゲインを切ったのはわずか39%。タックル成功19回を記録したコーネルセンを筆頭に、FW勢の高いワークレートが光り、終盤は相手の足を完全に止めた。

 攻撃は本来のスキル(ショートパス)を駆使して相手を翻弄(ほんろう)し、ゲインライン突破率62%を記録。モメンタム(勢い)をつくり続けた。特徴としてチリは1回のパスで1回コンタクトがあるが、日本は複数回のパスを重ねてコンタクトしており、相手の的を外すことで、ゲインラインの攻防でも優位に立つことができた。

 課題だったスコア後のキックオフレシーブからの自陣脱出も100%成功。ゴールキックを100%決めた松田、ジャッカル2回を決めて危機を救った坂手の復調も大きい。また、ケガで離脱していたファカタヴァ、ディアンズの両ロックが復帰し、トライを決めたことは大きな収穫だ。

 次に対戦するイングランドのプランは明確で、強みのセットプレーからのプレッシャーと、コンテストキックからのハイプレッシャーディフェンスで、ミスを誘いゲームを支配してくる。

 日本に必要なことは、(1)日本のスタイルを忠実にやり切る精神力(2)スピード、スキルを使ってスペースにボールを素早く動かすこと(3)特にターンオーバーからのアタックはスピードを持って得点につなげること(4)セットプレーの数を増やさないためにも、ボールインプレーの時間を伸ばしアンストラクチャーに持ち込むこと(5)イングランドの精神的支柱であるSOフォードへ圧力をかけること、の5点となる。

 (4)はチリ戦が34分46秒。昨年11月の対戦では35分台を記録しながら完敗したが、時間を長くして体力勝負に持ち込めば有利に働くはずで、40分を目指してほしい。(5)はとにかくフォードにフィジカル的な圧をかけ、自信と冷静さを失わせることが鍵。強いランナーをフォードに当て、タックル回数を重ねさせたい。

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