ダウン症の愛娘のために 柔道・鈴木桂治監督 自前の道場に込めた思い

2024年01月06日 19:59

柔道

ダウン症の愛娘のために 柔道・鈴木桂治監督 自前の道場に込めた思い
KJAのオープニングセレモニーで今年の抱負をしたためた色紙を手にする鈴木桂治監督 Photo By スポニチ
 柔道男子日本代表の鈴木桂治監督(43)が6日、東京都町田市に自身の道場をオープンさせ、お披露目イベントを開いた。同監督は東京五輪後の21年10月から柔道教室「Keiji Judo Academy(KJA)」の代表を務め、競技の普及に取り組む。今回は待望の拠点誕生で、「自分の大きな転機となる道場ができた。いろんな方の力をお借りしてできたので、本当にありがたいという気持ちと、後には戻れないなという思い」と喜びを口にした。
 道場は40・5畳の畳敷きで、壁の一面は子供用のボルダー壁になっている。屋外にはサウナも併設するなど、同監督の理想が詰め込められた。開設に当たり事業計画書の作成や資金調達など、初めての経験に四苦八苦したようで、「(五輪で)金メダルを獲っても、何もできないと思い知らされた。思いだけじゃだめ。43歳で成長できた」と話した。

 日本代表監督して迎える初の大舞台となるパリ五輪を今夏に控える中、あえて同じ年に道場を開設したのは、ある思いがあった。

 「4番目の子供がダウン症を持って生まれてきた。この子がどう成長していくか、人生を歩んでいくかと考えた時に、自宅以外で自由に暴れ回れる場所がほしいと思った。自分の道場を持って、そこで自由に遊ばせることが理想的だなと思った。ちょっとでも自分の子供の成長を自分の目で見守る場所があればいいなと思った」

 22年9月に誕生した三女の稀子ちゃん(1つ)。誕生直後に心臓の手術を受け、その後にダウン症と診断された。同じ境遇にある親とも会話を重ねる中で、ダウン症を持った子供たちが伸び伸びと過ごせる環境が必要と痛感。KJA設立当初は自前の道場を持つ考えはなかったものの、構想から約1年という短期間で完成。いずれは認可を取得し、運動に特化した療育施設としても活用する計画を明かした。

 日本代表監督としては、新年の抱負として色紙に「全 全力(全てに全力)」としたためた鈴木監督。7カ月後に迫る大舞台に向けて、「五輪は選手が命懸けで戦っていい場。我々も命懸けでサポートするのが責任。自分が全責任を背負う覚悟で取り組んでいきたい」と不退転の決意を口にした。

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