琴ノ若 父超え大関 悔し涙のV逸昇進 祖父のしこ名「琴桜」襲名へ

2024年01月29日 04:35

相撲

琴ノ若 父超え大関 悔し涙のV逸昇進 祖父のしこ名「琴桜」襲名へ
翔猿(下)を上手投げで破る琴ノ若(撮影・木村 揚輔) Photo By スポニチ
 【大相撲初場所千秋楽 ( 2024年1月28日    東京・両国国技館 )】 関脇・琴ノ若が大関昇進を確実にした。本割で翔猿を下して13勝目を挙げ、昇進目安の直近3場所合計33勝に到達。決定戦で横綱・照ノ富士に敗れて初優勝は逃したが、審判部が臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱・北勝海)に要請して受諾され、31日にも新大関が正式に誕生する。祖父が元横綱・琴桜、父が元関脇・琴ノ若という「相撲一家」の宿命を背負い、その悲願をかなえた。
  支度部屋で琴ノ若の目から一筋の涙が流れた。夢の大関昇進を果たしたうれし涙ではない。優勝決定戦で照ノ富士に敗れた悔しさが感情の全てだった。本割で翔猿を上手投げで破り初めて臨んだ横綱との優勝決定戦。狙い通りのもろ差しになるも、すぐに巻き替えられて逆にもろ差しを許して完敗。またも横綱との力の差を痛感し、報道陣の質問に長い沈黙を続けた後に「悔しいです」と絞り出した。

 「優勝して上がりたかったです」。悔しさばかりがあふれ出るが、大関昇進を果たすことは事実上決まった。三役で3場所合計33勝。文句なしの成績で悲願を成就させた。「それはうれしいですけど、切り替えないと。来場所へ(の戦いが)始まっていますし、もっと責任感を持ってやらないと」。あと一歩のところで賜杯に届かなかった悔しさを糧にするつもりだ。

 大関昇進は親子3代の夢だった。小学生の頃、祖父で先代師匠の元横綱・琴桜に「おじいちゃんのしこ名はいつもらえるの?」と聞くと「大関以上にならないとやらん」と返ってきたという。それ以来、大関を目標に相撲人生を歩んできた。父が06年の引退相撲で宣言した「“琴ノ若”を復活させる」という約束は、19年名古屋場所の新十両昇進時に実現。今度は、祖父との約束も果たすことになる。

 大関昇進伝達式が行われる31日、先代の墓前へ報告しに行く予定という。「良い形で、一つ約束は守れたかな。これでまた先代の番付に手が届くところまで来られた」。敗戦から30分以上過ぎた三賞の表彰式では父の佐渡ケ嶽親方から表彰され、少し穏やかな表情を取り戻して感慨を込めた。

 気になるのはしこ名の行方。「これから師匠と話し合います」とこの日は明言を避けた。「大関昇進で琴桜襲名」が先代との約束だったが、「師匠のしこ名をもう一段上げたい。このしこ名で優勝することが師匠への恩返し」という思いも強まっている。「大関・琴ノ若」から「横綱・琴桜」へ。親子3代の夢は、祖父と同じ地位に上り詰めるまで続く。 

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