前田穂南が19年ぶり日本新でパリ五輪大きく前進!野口みずき超え日本女子初2時間18分台
2024年01月29日 05:10
マラソン
勇気ある快走劇だった。先頭集団は国内最高記録2時間20分29秒を上回るペースで推移。中間地点を通過した瞬間「体が動いたら行こうと決めていた」。得意の単独走で、1キロ3分20秒のペースメーカーを上回る走りを展開。1キロ3分10秒台で浪速路を刻み、息苦しくて声が漏れた終盤も同20秒台で乗り切った。「やっぱ飛び出さなかったら良かったかな…」。弱気になった瞬間も、給水でスペシャルドリンクを2度取り損ねるハプニングもあった。それでも、最後は気合だった。
連覇を狙った昨年10月のMGCは7位。一度は飛び出したが、悪天候の雨に泣いた。期間の空いた3月の名古屋ウィメンズも視野に入れたが、強度の高い練習を継続できる間隔の今大会出場を決めた。武冨豊監督(69)が参考にしたのは、日本記録を出した野口みずきが19年前に消化した練習での設定タイム。40キロ走では過去の全盛期のタイムを5分ほど縮めるなど野口と同水準まで引き上げ、米ニューメキシコ州アルバカーキでの高地トレーニングもこなした。指揮官は「手応えは確実にあった」と振り返った。
コロナ禍で1年延期した東京五輪では調整に苦しみ33位。「凄く悔しい」不完全燃焼だった。その後は主流の厚底シューズへの対応もうまくいかず、右かかと疲労骨折や左足くるぶし横を痛めるなど負傷の連続。帰省するたびに母・麻理さん(50)に「やめたい」と漏らし続けたこともあった。苦しみを経て、日本記録を出した今だから言える。「パリでもう一度勝負して、走りきりたい」。人事を尽くした前田が、天命を待つ。
≪父の並走が後押し≫苦しさの増す32キロ過ぎに背中を押してくれたのは、家族だった。父・哲宏(あきひろ)さんは「じっとしていられなくて」と沿道を並走。母の麻理さんは「いいよ、いいよ」と声を張り上げた。日本記録を意味した「アレ」は、日本一を決めた試合に足を運んだ虎党の哲宏さんの“入れ知恵”もあったという。前田は「並走は見えたが、応援は聞こえなかった。それ(父の並走)を見て頑張ろうと思いました」と振り返った。
◇前田 穂南(まえだ・ほなみ)1996年(平8)7月17日生まれ、兵庫県尼崎市出身の27歳。両親がファンの女優・鈴木保奈美が名前の由来。小学5年から陸上を始め、大阪薫英女学院3年時は全国高校駅伝初優勝も補欠。卒業後の15年に天満屋へ入社し、17年大阪国際でマラソンデビュー。19年MGC優勝で21年東京五輪出場。今大会で自己記録2時間22分32秒を大幅更新。1メートル66、44キロ。
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