【新大関琴ノ若 親子三代の夢(下)】3代目の重圧 番付上昇で“達観”に変化

2024年01月31日 04:41

相撲

【新大関琴ノ若 親子三代の夢(下)】3代目の重圧 番付上昇で“達観”に変化
元横綱琴桜(右端)の隣で稽古を見る幼少期の琴ノ若(佐渡ケ嶽部屋提供) Photo By 提供写真
 15年10月、琴ノ若=本名・鎌谷将且(まさかつ)=は父が師匠を務める佐渡ケ嶽部屋へ入門した。「親子」から「師弟」へ。引退するまで後戻りすることができない関係性を、当時から十分に理解していた。師匠も「寂しさはない。ここで稽古して強くなればいいので」と割り切っていた。「他の力士より厳しくなるよ」と本人に忠告。食事に連れて行く回数を他の弟子たちよりも減らすなど厳しく接した。
 「琴鎌谷」のしこ名で入門した当初は、どうしても付いて回る「琴桜の孫、琴ノ若の息子」という肩書を重圧に感じていた。初土俵から負け越しなしで幕下まで駆け上がるも、そこから約3年間は一進一退の日々。そんな時に声を掛けてくれたのが、昨年12月に亡くなった元関脇・寺尾の錣山親方だった。錣山親方も父が元関脇で師匠という同じ境遇。「気持ちは分かるよ。お前も頑張れ」。その言葉が新十両昇進への転機となった。

 史上初の「親子3代関取」をはじめ「3代三賞」「3代三役」と前人未到の偉業を次々に成し遂げた。「もし自分に息子ができて、相撲やるってなったらかわいそうですね(笑い)。“4代目”のメンタルどうなるのかな」。ふと何げない会話の中で出た言葉だったが、自身がどれほどの重圧を乗り越えてきたかが表れていた。

 番付を上げていく中で、プレッシャーは感じなくなったという。「どうせ言われるなら、気にする必要ないと思えるようになった」。さらに今では「こういう環境に置かせてもらってありがたい」と感謝している。背負った宿命を力に、親子3代の夢をかなえた。 (特別取材班) =おわり=

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