立命館大出身の幕下・大元が引退「ずっと楽しかった」有終の美飾り号泣 今後は小学校教員の道へ

2024年01月31日 19:10

相撲

立命館大出身の幕下・大元が引退「ずっと楽しかった」有終の美飾り号泣 今後は小学校教員の道へ
初場所14日目、現役最後の相撲を取り終えて雷部屋の力士らと記念撮影に収まる大元(右から2人目)=撮影・前川 晋作 Photo By スポニチ
 日本相撲協会は31日、初場所限りで引退した力士を発表した。既に発表されている元幕内・東龍(36=玉ノ井部屋)と元十両・千代嵐(32=九重部屋)の他に、幕下以下15人の引退が新たに発表された。
 西幕下37枚目の大元(31=雷部屋)は初場所で5勝2敗の好成績を残しながら、9年間の力士生活を終えた。

 大元は最後の取組となった14日目、竜勢(37=伊勢ノ海部屋)を送り出しで下して有終の美を飾った。最後の勝ち名乗りを受けると感極まり、引き揚げる花道では号泣。部屋の力士全員(十両・獅司、三段目・龍司、毅ノ司、西太司、雷道、序二段・鷹司)に拍手で出迎えられ、一人一人と握手を交わした。

 最後の相撲と心に決めて臨んだ一番で会心の勝利。「出し切りました。ずっと楽しかったです。悔いはないです」。相撲が大好きで、熱い思いを持って飛び込んだプロの世界。9年間の力士人生を全うした。

 大元は岡山理大附高、立命館大を経て、元関脇・栃司が師匠を務める入間川部屋(当時)に入門。15年初場所で初土俵を踏んだ。同期生には同学年の岩崎(現幕内・翔猿)がおり、前相撲で対戦して突き出しで勝利。三段目に番付を上げたデビュー3場所目の15年名古屋場所では、6戦全勝で迎えた7番相撲で同学年の宇良(現・小結)に敗れた。

 思い出の一番は、20年7月場所14日目の3勝3敗で迎えた若隆元戦。「初めて幕下上位5番で取って勝てたのがうれしかった」。勝ち越しを決め、翌場所で自己最高位となる東幕下13枚目まで番付を上げた。

 21年名古屋場所後、右足親指を負傷して手術。2場所連続全休で幕下中位から三段目下位まで番付を下げた。そこから2場所で幕下へ戻るも、関取昇進を狙える地位まではたどり着けず。その間に弟弟子の獅司が関取昇進を果たし「悔しくて寝られなかった。こんな悔しいことはない」と大いに刺激を受けた。

 稽古場では獅司と互角に渡り合う実力を持っていたが、本場所ではなかなか結果が出せず。昨年名古屋場所、秋場所と2勝5敗が続き「終わったな。もう31歳になるし、関取に上がれないなら…」と引退を考えた。体力の限界ではなく「幕下にならまだいられる」としながらも「学生出身で入って上で戦うことを目標にしていたので」と潔く現実を受け入れ、秋場所後に引退を決意した。

 「いつも“負けられない”と自分を追い込んでいたけど、先場所から本当に相撲が楽しい」。初場所限りでの引退を心に決めたことで、開き直って心から相撲を楽しんだ。その結果、初場所はいきなり4連勝でストレート勝ち越し。「気負いがなくなった。もっと早く気付けばよかった」と笑顔を見せていた。

 雷部屋の力士7人の中で最年長で、みんなの兄貴分的存在だった。岡山理大附高の2年後輩にあたる三段目・西太司(29)は「常に自分より上の番付にいて、ついていこうと頑張れた。大元さんの相撲に取り組む熱い気持ちを学ばせていただきました」と感謝。部屋頭でウクライナ出身の十両・獅司(27)は「日本に来た時から、日本語も相撲もいろいろ教えてもらった。稽古場でもずっと一緒だったので、寂ししです」と別れを惜しんだ。

 大元は引退後、4月から滋賀県の小学校で常勤講師を務める予定。立命館大学産業社会学部で小学校の教員免許を取得しており、大学時代は教師になるか力士になるかで迷っていた時期もあった。力士生活に区切りをつけ「一回だけの人生なので」と次の夢へと向かう。相撲界で学んだことは「我慢すること。規則正しい生活。仲間の大切さ」と熱く語る誠実な31歳。「我慢強い、努力し続けるような子を育てていきたいです」。その熱い思いを、これからは教育の場で生かしていく。

 この日、新たにこの日新たに引退を発表した力士は以下の15人。
 ▽幕下
大元(31=雷部屋)
 ▽三段目
頂(29=伊勢ノ海部屋)、羅王(30=立浪部屋)
 ▽序二段
美登桜(31=八角部屋)、前乃富士(41=高田川部屋)、二十城(38=山響部屋)、武東(22=玉ノ井部屋)、煌星(17=湊部屋)、朝乃土佐(42=高砂部屋)、神山(42=高砂部屋)
 ▽序ノ口
我妻桜(18=式秀部屋)、奥山(20=八角部屋)、都川(25=伊勢ノ海部屋)
 ▽番付外
泉川(26=芝田山部屋)、星(19=朝日山部屋)


 ◇大元 貴志(おおもと・たかし)1992年(平4)11月23日生まれ、岡山県総社市出身の31歳。岡山理科大学附属高1年から相撲を始め、立命館大2年時に西日本学生体重別大会135キロ以上級準優勝。入間川部屋(当時)に入門し、15年初場所で初土俵。16年初場所で幕下昇進。17年九州場所で「寶司(ほうつかさ)」に改名。18年秋場所で再び本名の「大元」に改名。最高位は東幕下13枚目(20年秋場所)。幕下在位39場所。通算成績195勝145敗31休。1メートル78、160キロ。

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