ウルフ、パリ切符もぎ取った!「柔道をもっと知って」東京五輪後メディア露出激増の代償払うも蘇った

2024年02月06日 04:35

柔道

ウルフ、パリ切符もぎ取った!「柔道をもっと知って」東京五輪後メディア露出激増の代償払うも蘇った
柔道GSパリ大会優勝したウルフ・アーロン(AP) Photo By AP
 男子100キロ級で21年東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27=パーク24)が1回戦から6試合を勝ち抜いて優勝。今夏のパリ五輪代表を争う新井道大(19=東海大)が3回戦敗退で明確な優劣がついたため、今月中旬にも開かれる臨時の強化委員会で2大会連続の代表に選出されることが確実となった。五輪以来2年半ぶりの国際大会制覇で復活を印象づけ、100キロ級初の五輪連覇に挑む。
 普段は陽気で人を笑わせることが得意な男が、感極まって両手を突き上げた。2大会連続の五輪へ首の皮一枚つながった状態で臨んだパリでの大一番。見事な復活優勝で、半年後に開かれる祭典の切符をほぼ手中にしたウルフは「ここまでの道のりが凄く長かった。安心した気持ち」と言葉に実感を込めた。

 日本勢が9個の金メダルを獲得した東京五輪後。世はまだコロナ下で、メディア出演のオファーを他の選手が断る中、ウルフだけは全て受け止めた。テレビで見ない日はなく、専属マネジャーの手帳は2、3カ月先まで予定でいっぱい。全ては「僕をきっかけに柔道をもっと知ってもらいたい」の一心だったが、代償は大きかった。

 一時は130キロを超えた体重を落とすのは至難の業で、復帰予定はケガとコロナ感染で2度流れた。最大の武器だったスタミナも失われ、復帰後も国際大会で早期敗退を繰り返した。昨年12月のGS東京大会では敗者復活戦で敗れ7位。パリ五輪代表争いで徳俵に足がかかった状態だったが、今大会に向けては体重を抑えたままで年末年始を過ごし、技の切れも取り戻した。準決勝、決勝は得意の内股がさえた。「しっかりとした準備をすると、結果が出ると改めて感じた」と語った。

 大会前、代表争い決着の条件にメダル獲得を示していた男子日本代表の鈴木桂治監督も、「優勝は代表選考において非常に大きい。強化委員会に諮る流れになっていくのかなと思う」と明言。男女全14階級で唯一決まっていなかった代表に、“蘇(よみが)える金狼”を送り出す。

 ◇ウルフ・アロン 1996年(平8)2月25日生まれ、東京都出身の27歳。6歳で柔道を始め、千葉・東海大浦安高―東海大。17年に初出場だった世界選手権を制覇、19年には体重無差別で争う全日本選手権優勝。21年東京五輪も制し、日本男子史上8人目の3冠を達成。昨年4月からパーク24に所属。左組みで得意技は大内刈り、内股。父が米国出身、母が日本人。趣味は魚をさばくこと。1メートル81。

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