【元横綱・稀勢の里コラム】三役昇進は通過点 大の里は今後に向けて大事な夏場所に

2024年05月01日 07:00

相撲

【元横綱・稀勢の里コラム】三役昇進は通過点 大の里は今後に向けて大事な夏場所に
会見で番付を手にした大の里(左)と師匠の二所ノ関親方(撮影・郡司 修) Photo By スポニチ
 昨年9月に大の里が20歳未満の力士と飲酒していた件で、このたび日本相撲協会から厳重注意を受けました。大変お騒がせして申し訳ありませんでした。今後はしっかり指導して、大の里を相撲道にまい進させます。この場を借りて謝罪します。
 大の里は夏場所で新小結に昇進しました。入門から1年。順調といえば順調です。1月の初場所は新入幕で11勝。2場所目は他の力士も研究してマークもきつくなる中で11勝を挙げました。「2場所目のジンクス」といわれるように、新入幕で活躍しても翌場所で失速する力士を多く見てきました。実際私も入幕2場所目は6勝9敗でしっかり壁にぶち当たりましたが、大の里は終盤まで優勝争い。自信にもなっていると思うし、立派な戦いでした。入門後は年6場所でしっかり戦える体づくりを課しています。地道な土台づくりの成果も徐々に出始めたのではないでしょうか。

 小結という地位は序盤で横綱、大関戦が続く傾向にあります。大の里も昇進会見で「最初の5日間を集中したい」と序盤をポイントに挙げています。ここを五分以上の星でクリアすれば勝ち越しも見えてくるでしょう。過去の傾向からも西小結は初日に横綱と組まれます。照ノ富士は初場所の対戦で子供扱いされたように大きな壁です。ただし、まだ土俵の感覚に慣れていない時に対戦できるのは好材料。後半に当たるよりも隙はあるとみています。私の現役時代もそうでしたが、がむしゃらに向かっていけば対処に苦しみ、嫌がること間違いなしです。

 何度も言っていますが、強くなるために必要なのは、立ち合いの強化と体圧をかけ続ける攻めの確立。この1年、アマチュアとプロの違いに戸惑いながらも着実に進化はしています。入門当初は立ち合いで苦労している姿も見ていますが、私もまわし姿になって一緒に確認することもありましたし、だいぶ良くなってきました。今後、もっと腰を割りきれることができれば体を密着することが可能となり、大きな体を生かせる相撲が何番も取れます。課題となっている土俵際の詰めの甘さも自然と解消されるでしょう。

 三役昇進は通過点。現状に満足することなく、負けない力士になるためにも、ひと皮もふた皮もむけなければいけません。師匠としては楽しみな場所ですが、今後に向けて収穫もたくさん手に入れてほしいと思っています。 (元横綱・稀勢の里)

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