阪神・岡田監督の裏目采配を近本が救うV撃! 指揮官伝統の一戦5339日ぶり白星「勝ったのは大きい」

2023年04月13日 05:15

野球

阪神・岡田監督の裏目采配を近本が救うV撃! 指揮官伝統の一戦5339日ぶり白星「勝ったのは大きい」
<巨・神>10回勝ち越し打を放った近本(撮影・岸 良祐) Photo By スポニチ
 【セ・リーグ   阪神2―1巨人 ( 2023年4月12日    東京D )】 阪神は12日、1―1の延長10回に近本光司外野手(28)が左前に決勝打を放ち伝統の一戦で今季初勝利を飾った。岡田彰布監督(65)は、7回まで完全投球と快投していた今季初先発の村上を降板させて継投を決断。直後の8回に2番手の石井が同点被弾を浴びた場面を悔しがったものの、チーム全員による総力戦で接戦を制した。
 立ちこめる暗雲を、最後は近本が切り裂いた。「あの場面はバットを短く持つしかないでしょう」。1―1で迎えた延長10回1死三塁。フルカウントとなり、いつも以上にミートを心がけた。左腕・高梨のシュートを捉えた打球は背番号5の…いや、ナインの執念が乗り移ったように左翼線に落ちた。欲しかった1点。リードオフマンの一打は悩み、悔いもあった岡田監督をも救った。

 「そら完全試合というのはあったけど、(村上を含めた)3人で完全試合という方をね、優先したんや」

 激戦の始まりとなった大きな分岐点だった。1936年の球団初年度から、通算1万1057試合目。村山実も、江夏豊でさえも誰ひとり達成したことのない「完全試合」を、プロ通算4試合目の村上が成し遂げようとしていた。しかし指揮官は完全投球を続けていた7回限りでの降板を決断。その采配に球場全体からどよめきが起こった。

 石井、湯浅とつなぐ継投での完全試合を頭に描いていた。百戦錬磨の65歳にとっても初めての経験。だが、8回に投入した石井が先頭の岡本和に同点ソロを被弾した。わずか1球で村上のプロ初勝利は消え、勝負も振り出しに戻る悪夢だった。

 「頭の中ではずっと完全試合いけたんかなってね。それは片隅に残ってますね」

 非情に見える采配に一片の悔いがなかったわけではない。ただ、継投は失敗に終わったが、最も勝利の可能性が高い道筋も冷静に見極め、開幕からブルペン随一の安定感を見せてきた石井を信頼してバトンを託した。

 「あと2点ぐらいあったらな。(村上を)行かしたかもわからん。佐々木朗希やったら1―0でも投げさせとったけどな」

 まだ経験の浅い3年目右腕に過度な期待はかけず、真っすぐ現実を見ていた。監督として伝統の一戦に勝利するのは08年8月29日(甲子園)以来、5339日ぶりでも「全然気にしてない」と驚くほど素っ気ない。それよりも、一歩間違えば痛恨の黒星となるところを、最後はチーム一丸で勝ち切ったことに目を細めた。

 「(勝ったのは)やっぱり大きいよな。チームの勝ち星は村上でええやろ。当然やん、そんなん。当たり前やん。チームの中では(村上に)勝ち星ついてるよ」。村上の熱投、ナインの意地も詰まった1勝に価値がある。(遠藤 礼)

 ○…阪神は1―1の延長10回、近本が勝ち越しの左前適時打。チームのゲーム2得点以上は、4月4日広島戦の5得点以来6試合ぶり。この日も1得点で終わっていれば、12年まで4度あった球団ワーストの「6試合連続1得点以下」に並ぶところだった。

 ○…阪神は今季巨人戦初勝利。岡田監督の「伝統の一戦」勝利は08年8月29日の甲子園以来5339日ぶり。前回勝利以降、08年の7試合と今季の初戦とで8連敗中だった。なおオリックス監督時代の10~12年には交流戦12試合で6勝(10年(2)、11年(3)、12年(1))している。 

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