藤井棋聖 「21歳11カ月」で最年少永世称号 中原誠16世名人の記録を53年ぶり更新

2024年07月02日 05:30

芸能

藤井棋聖 「21歳11カ月」で最年少永世称号 中原誠16世名人の記録を53年ぶり更新
 「永世棋聖」と書いた色紙を手にする藤井聡太棋聖 Photo By 共同
 将棋の藤井聡太棋聖(21)=王将など7冠=が挑戦者に山崎隆之八段(43)を迎える第95期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負(主催・産経新聞社)は1日、名古屋市の万松寺で第3局が指され、藤井が100手で勝利した。3勝0敗として5連覇を達成し、自身初の永世称号「永世棋聖」資格(襲位は原則引退後)を21歳11カ月で獲得。全8冠の永世称号の最年少記録・中原誠16世名人(76)が1971年に永世棋聖で樹立した23歳11カ月を2年更新した。
 歴史にまた名を刻んだ。藤井が21歳にして永世称号の一つ「永世棋聖」を獲得した。スポーツ界の殿堂入りに相当する偉業を史上最年少で達成。終局後、「全く意識していなかった」。最年少記録コレクターは言葉を選んだが、感慨も口にした。

 「ここで獲ったのかという思いも強い」。万松寺では無冠だった七段時代、18年度名人戦を観戦した。当時の佐藤天彦名人と羽生善治竜王による第5局。「タイトル戦の雰囲気を間近で勉強させてもらえた」。デビュー以来の29連勝を達成した翌年で、その6年後達成した大記録の余韻に少し浸った。

 王手をかけて臨んだ第3局。後手番から、山崎の得意戦法・相掛かりを受けて立った。銀交換に角交換。さらには飛車交換。派手な駒交換の応酬の末に58手目、7筋への「焦点の歩」に続いて藤井が放った痛打、62手目△8二銀。飛車角両取りだ。相手戦力をそいで勝勢を決定づけた。14歳までを過ごした奨励会時代、指導役の幹事だった山崎に改めて自らの成長を示した。

 6月20日の叡王戦第5局、伊藤匠叡王(21)に敗れて2勝3敗で自身初の失冠を経験した。タイトル初挑戦だった20年度棋聖戦以来、敗退は初めてで、自身が持つタイトル連続獲得は歴代最多の22期でストップ。昨年10月11日の王座戦第4局で全8冠を独占して以来、254日で全8冠独占が崩れたショックは感じさせなかった。

 終局後の記者会見。「永世棋聖」の揮毫(きごう)を持参した藤井に、6月30日の前夜祭で来場した武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)についての質問が飛び出した。「(同親方のように)どんな型でも対応できる力をつけるのが大きな目標です」。藤井自身、その現役時代を知らないが、幕内優勝12回の横綱相撲を81マスの盤上で表現していくのだろう。

 永世棋聖は史上6人目となり、永世称号8つの年少獲得記録も1971年、23歳11カ月だった中原を2年更新した。53年ぶりの快挙に、藤井は言った。「もちろん光栄なこと。今後の活躍がより問われるのかなと思う」。歩みを止めないからこそ、絶対王者だった。 (筒崎 嘉一)

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