「降り積もれ孤独な死よ」最終回前にPが明かす制作での意識と視聴者への信頼 最終回は原作への「恩返し」

2024年09月08日 12:00

芸能

「降り積もれ孤独な死よ」最終回前にPが明かす制作での意識と視聴者への信頼 最終回は原作への「恩返し」
<「降り積もれ孤独な死よ」>取材に応じる中山喬詞プロデューサー
 俳優の成田凌(30)主演の日本テレビ系ドラマ「降り積もれ孤独な死よ」(日曜後10・30)がきょう8日、最終回を迎える。7年前に屋敷で起きた13人の少年少女監禁死体遺棄事件と、2024年に起きる1人の少女失踪事件が交錯する物語。
 「ひだまりが聴こえる」(テレビ東京)、「海のはじまり」(フジテレビ)とともにギャラクシー賞の7月度マイベストTV賞月間ノミネート番組に選出された話題作だ。

 これまで多くの謎がひもとかれてきた一方で、未解決事件や残された謎がまだ複数ある。次々に驚きの真実や新たな謎が出てくる展開に回を追うごとに話題性が増し、結末に大きな関心が寄せられている。最終回を控え、読売テレビの中山喬詞プロデューサーがドラマ作りで意識したことなどを明かした。

 今作では事件や過ちを犯すキャラクターが複数登場。そのような人物像を考える上で「サイコパスな人間は描きたくない」と丁寧に作り込んだ。父親への愛情が強すぎる故に7年前の遺棄事件を起こした犯人(佐藤大樹)を例に「ぶっ飛んだ犯行理由にはしたくなかった。過去やいろんな思いを背負っての過ち、という点はどのキャラクターも大切にしました」と説明。主人公の刑事(成田)が7年前に連続傷害事件を起こしていたことは多くの驚きを与えたが、視聴者が思わず感情移入してしまうほど、いずれのケースも背景となる過去が丁寧に描かれている。

 他にも過去を掘り下げる場面がしばしば。複数の謎や事件が絡み合う上に回想が挟まると、テンポが損なわれる恐れもあった。それを解決したのは「ここまで言わなくても分かってくれるはず」という視聴者への信頼だった。

 今や国内外含めてドラマコンテンツがあふれる時代に「視聴者の見る目が鋭くなっていると思います」。分かりやすさを求めつつも「飽きずに見てもらえる展開の早さ。なおかつ、考えて想像してもらえる余白を残すこと」を強く意識した。

 結果、密度が濃い仕上がりに。特に意識したという第3話までのスピード感も生まれた。第1話では「遺棄事件の容疑者逮捕」、第2話では「留置所でその容疑者が死亡」、第3話では「主人公が連続傷害事件を起こしていた」と、各話に大きなトピックができた。

 視聴者に能動的に続きや謎を気にしてもらうため、本編の放送および配信の最後に次回予告をつけない試みも行った。SNSなどで視聴者が積極的に作品を追う様子を観察し、効果を実感している。

 今作の出来を「見応えのある質の高い作品になったと思います」と胸を張る。業界内から「地上波でここまでやるんだ。配信ドラマのよう」との声をもらうといい「素直にうれしい。やりきることが大事でした」と笑顔。突き詰めて評価されたと感じた部分の一つに、主人公の過去にもかかわる「虐待」を挙げた。「中途半端に描くのが一番ダメだと思って、真っ正面からぶつかりました」と思わず息をのんでしまう虐待シーンを作った。

 第7話で、主人公(成田)が遺棄事件の犯人(佐藤)を殴り続ける場面でみられた迫力ある“暴力性”も話題に。コンプライアンスなどでためらってしまいそうな部分も現場一丸となり全力でやりきった。各方面の協力に感謝を述べつつ「最近、地上波でこれだけタバコ吸ってるドラマもないかなとは思ったりもします」とも冗談ながらに話した。

 近年、Netflixなど配信ドラマの方が潤沢な予算やスケジュールがあることが指摘されている。「それはあると思います」としつつも「“地上波だからできない”ということはないと思います」。今作を通して「改めてアイデアと工夫次第。なによりキャストさんのお芝居と脚本の2点で、引けをとらないものが作れると思っています」と手応えを感じている。

 今作は井龍一氏作、伊藤翔太氏作画でウェブ連載中の同名漫画が原作。原作は未完で、オリジナル要素もある。企画段階で井龍氏には「原作より面白くしていただけるなら大丈夫です」と言われた。「それが1番プレッシャーでした」と苦笑いしたが「原作を面白いと感じてドラマ化したい自分がいて、リスペクトを持って作品に向き合えました」。

 その熱量に井龍氏から放送前に「リスペクトを持って、より面白いものを作るぞという意気込み&熱量が感じられる内容」「物語の根幹に関わるテーマはちゃんと引き継がれています」とコメントが寄せられた。人気原作の世界観そのままの映像化に、原作を知る人、知らない人の双方から好評を得ている。

 そしてきょう迎える最終回。井龍氏から脚本に「(テーマと)齟齬(そご)がないです」とお墨付きをもらえたといい「作品の“大きなテーマ”がぎゅっと詰まったものになっています」とアピール。そして「大事な作品を預からせて頂いたことに対する、キャスト、スタッフ一同の恩返しができれば」と気合を込めた。

 内容の注目点は「(未解決事件の)犯人捜しだけでなく、それぞれの登場人物たちの帰結する最後の着地点」。残された謎も全て回収する。「最後にはきっと満足していただけると思います」と視聴者に呼びかけた。

 物語はどんな結末を迎えるのか――。そして、中山氏が最後に伝える大きなテーマとは――。最終回から目が離せない。

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