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タダしい競馬の見方塾 ~天皇賞・秋~

2021年11月05日 17:00

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タダしい競馬の見方塾 ~天皇賞・秋~
天皇賞・秋を制した横山武はエフフォーリアの鞍上で歓喜のガッツポーズ Photo By スポニチ
 キャリア豊富な競馬記者Aがレース結果を詳しく解説する「タダしい競馬の見方塾」。今回は31日に開催された「天皇賞・秋」編。
 競馬の歴史の転換点となった一戦だったかもしれない。3強対決を3歳馬エフフォーリアが制したことはもちろん大きな出来事だが、筆者が思い出したのは武豊が3番人気スーパークリークで制した88年菊花賞だ。よく勝つ若手だと思ってはいたが、大一番でこの強さ。とんでもない騎手になるのではないか…。その後の武豊騎手の活躍ぶりは筆者の想像のはるか上を行ったが、その菊花賞のような衝撃があった。横山武史。もしかしたら将来、とんでもない騎手になるのではないか。我々の想像をはるか上を行く…。

 レースぶりは完璧だった。3枠5番からサッと6番手。直線でいち早く先頭に立ったグランアレグリアを慌てることなく追いかけ、残り150で先頭。追いすがる3冠馬コントレイルも封じ切って19年ぶりの3歳馬Vへと導いた。最も美しく手入れされた馬の担当者に贈られる「ベストターンドアウト賞」を受賞したから言うわけではないが、パドックでの雰囲気は3強で一番良かった。コントレイル、グランアレグリアがそれぞれウイークポイントを抱えていたとはいえ、それでも馬を信じてのベストな乗りっぷり。とても22歳とは思えなかった。インタビューでは、いかにも若者という表情を見せるが、その中で、もの凄く大人っぽい雰囲気が時折、顔をのぞかせる。それこそが横山武の本質なのだろう。内面は大人だ。レース前に考えて考えて考え抜き、その末に馬を信じて腹をくくって乗る。菊花賞もこの天皇賞も明らかに考え抜かれた騎乗だった。

 2着コントレイルはスタートに失敗したことが敗因とされているが、ゲート内での仕草を見直すと、むしろ福永騎手はよくぞあのスタートを切れたと思う。エフフォーリアを追いかけ、最後に苦しくなったのは、やはりわずかでも重馬場の大阪杯(3着)を走り抜いたことの疲れが残っていたのだと思う。グランアレグリアはもう少し脚をためたかった。マイルからの転戦。気持ちが理想よりわずかに前掛かりになったことは否めないし、馬を責めることもできない。馬は距離を知らずにレースを走るからだ。これが3階級制覇につきまとう難しさだ。ただ、ナイストライではあった。

 ♤競馬記者A スポニチSIVA運営に携わる競馬記者。取材歴は20年超のベテランで、メディア出演実績も多数。本人いわく「運だけは人一倍」。

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