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タダしい競馬の見方塾 ~2021 日本ダービー~

2021年06月02日 11:55

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タダしい競馬の見方塾 ~2021 日本ダービー~
2着に敗れたエフフォーリア(左)と日本ダービーを制したシャフリヤール(右) Photo By スポニチ
 キャリア豊富な競馬記者Aがレース結果を詳しく解説する「タダしい競馬の見方塾」。今回は30日に開催された「日本ダービー」編。
 シャフリヤールとのコンビで勝ち、優勝インタビューで「冷静と情熱のあいだというか、そういう感情を同時に持ち合わせた状態で馬を鼓舞していました」と語った福永騎手。ここに、実に近4年でダービーを3勝した、その理由がある気がした。ダービーの直線という極限の舞台で、どこかで落ち着きを保てている。往年の名投手・稲尾和久は、マウンドで投げている自分を俯瞰して見ている自分もいて、そこで投球フォームのチェックができていたという。その話に共通するような名人の領域を福永騎手から感じた。98年ダービー。3年目の福永騎手は2番人気キングヘイローにまたがり、完全に気持ちを乱して無謀な逃走。14着に大敗した。そこから20年をかけ、メンタルを磨いてきたことがよく分かった。

 「うまく乗れなかった」と福永騎手は言う。仕方のないところはあった。圧倒的1番人気馬エフフォーリアの直後。ベストの位置取りだが、周囲を馬に囲まれ、動きを制限された。1000m通過は60秒6。馬場コンディションを思えば、ややスローだろう。向正面でディープモンスターが動き、それに呼応して外の馬たちがポジションを上げた時、動くことができなかった。

 勝負どころを迎えたが劣勢は変わらなかった。外に出そうとしたが戸崎・グレートマジシャンの抵抗に遭い断念。直線を向いて出しどころがなく、必死に空く場所を探した。ようやくワンダフルタウンの外をこじ開ける。残り250m。ここから馬が素晴らしい伸びを見せる。ダービー史に残る脚と言っていいだろう。懸命に逃げ込みを図るエフフォーリアを最後の最後で捉えた。

 毎日杯1着以来、約2カ月ぶりの実戦。馬がフレッシュであったことが最後のファイトにつながったのであれば、名将・藤原英師の判断は神懸かっていたと言える。何度も手前を替える幼さを見せながら新馬勝ちを決めた素質馬。ダービーでも何度も手前を替えたが、それでも差し切ってしまった。尋常でない非凡さだ。

2着に敗れたがエフフォーリアも見事な戦いぶりだった。1枠1番は近年のダービーで非常に強いゲート番だが、スローの流れでインに押し込められた今回は有利に働かなかった。それでも直線を向いてサッと外に動き、残り250mで先頭に立った時には勝ったと思わせた。福永騎手は「紙一重、運も左右した」と言った。最後は運がなかったとしか言いようがない。父エピファネイアも、その父シンボリクリスエスも、母の父ハーツクライも、全てダービーは2着。そういう運命だったのかと思わざるを得ない。ただ、横山武騎手にはこれから何度もチャンスがある。福永騎手もキングヘイローで大失速し、顔面蒼白で引き揚げてきたダービーから、ここまではい上がった。横山武騎手もこの敗戦が糧になると信じたい。

 ♤競馬記者A スポニチSIVA運営に携わる競馬記者。取材歴は20年超のベテランで、メディア出演実績も多数。本人いわく「運だけは人一倍」。

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