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タダしい競馬の見方塾 ~アルゼンチン共和国杯~
2021年11月09日 17:40
ギャンブル
道中でペースが上がったことはすでに説明したが、それでいてラスト3Fは11秒1、11秒1、11秒9。ロングスパートを強いられて、その上で最後にもう1度ギアを上げるのだから、これは並大抵ではない。勝ったオーソリティの力はさすがというしかない。
管理する木村哲也師は、調教停止期間が明けたばかり。このあたりのさまざまな経緯はスポーツ新聞で報じられているので詳述は避ける。私が言いたいのは、木村師不在期間の間、厩舎を必死に守っていたスタッフの頑張りだ。木村師が調教停止の間、馬は一時的に岩戸孝樹厩舎へと移された。移ったのは名義だけで、実質的に木村師が指揮を執っていたのでは、と思う人もいるだろうが、そんなことはない。木村師はこの間、経営への一切の関与を断たれる。スタッフはもとより、馬主への連絡もできなくなる。残されたスタッフはトップ不在(岩戸師のアドバイスはあるだろうが)の中、競馬に臨まなければならないのだ。
実は木村師不在の中でも所属馬の成績は落ちなかった。慣れない馬主への連絡や、騎手の手配、賞金の管理などに忙殺される中で馬を仕上げ、懸命に踏ん張った。そのことが素晴らしいと思う。このアルゼンチン共和国杯優勝は、その奮闘したスタッフへのご褒美だったのでは、と思えた。
♤競馬記者A スポニチSIVA運営に携わる競馬記者。取材歴は20年超のベテランで、メディア出演実績も多数。本人いわく「運だけは人一倍」。