男子400Mファンニーケルク 憧れの国でMジョンソン超え世界新
2016年08月16日 12:40
五輪
陸上男子400メートル決勝で大外の8レーンを走った自称ブラジル人?は43秒03でフィニッシュ。決勝にはこの種目の金メダリストが2人いたが、ファンニーケルクは「きっと誰かが追い抜くはず。誰だろう、いつだろう。でも誰も来ない。何が起こったんだ?」と最後まで自分の視野にライバルを入れなかった。
昨年の世界選手権を制しているとはいえ五輪は初。しかし開会式で南アフリカの旗手を務めた男は、マイケル・ジョンソン(米国)が99年に樹立して「不滅の記録」とまで言われた世界記録(43秒18)を17年ぶりに塗り替えてしまった。
驚異のマルチ・スプリンターである。今年3月に100メートルで9秒98をマーク。100メートルの10秒、200メートルの20秒、そして400メートルの44秒という“3つの壁”を最初に突破した選手になった。3種目のベスト記録の合計は100メートルで3連覇を達成したボルトよりも1秒05速い。ボルトも09年、200メートルでジョンソンの記録を上回って世界記録(19秒19)を樹立。だからこそ100メートル決勝の後、ファンニーケルクを自身の後継者として認めて祝福したのだろう。
憧れだった国で手にした金メダル。陸上を志してから憧れとなったボルトにも抱きしめられた。「ずっと夢見てきた瞬間だった」。2016年8月14日。それはジョンソンを超えた者同士が、五輪の歴史の一ページを2人で埋めた一日だった。
◆ウェード・ファンニーケルク 1992年7月15日生まれ、南アフリカのケープタウン出身の24歳。200メートルの自己ベストは19秒94。昨年の世界選手権(北京)の400メートルでアフリカ新の43秒48をマークして優勝。1メートル83、70キロ。