旭川中2凍死の再調査委 自殺との因果関係認定 学校と市教委がいじめ対応を意図的回避 

2024年07月01日 05:30

社会

旭川中2凍死の再調査委 自殺との因果関係認定 学校と市教委がいじめ対応を意図的回避 
記者会見で質問に答える再調査委員会の尾木直樹委員長(中央)=30日午後、北海道旭川市役所 Photo By 共同
 北海道旭川市で2021年、いじめを受けていた中学2年広瀬爽彩さん=当時(14)=が凍死した問題で、市が設置した再調査委員会が30日、結果を公表し、凍死は自殺とし、いじめとの因果関係を認定した。学校と市教育委員会は、いじめではなく加害生徒の問題行動と捉えていたため、リスクを発見、低減させることができなかったとした。弁護士の野村武司副委員長は「市教委は早く事態を終結させるため、意図していじめの問題とはしなかった」と断じた。
 当初、市教委の第三者委員会は22年9月、医療情報を得られなかったこともあり、いじめとの因果関係は「不明」と判断。遺族の反発を受け、今津寛介市長が、教育評論家の尾木直樹委員長ら有識者による再調査委を設置していた。

 再調査委は、家族から提供を受けた広瀬さんの交流サイト(SNS)の発信履歴約4000件を分析。亡くなる直前まで恐怖や死に言及されていたことから、いじめ被害に継続して苦しみ、死を決意したと判断した。いじめとの因果関係を認め、市教委側の落ち度をより重く認定した。

 遺族側弁護士は公表を受け「要望をはるかに上回る充実した内容で、高く評価したい」とのコメントを出した。

 再調査結果などによると、広瀬さんは19年の中学入学後間もなく、性的ないじめを含め、学校のクラス内外で計7件のいじめを受けて心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。自尊感情の低下などが亡くなる直前まで継続したため「いじめが存在しなければ自殺は起こらなかった」と結論付けた。

 広瀬さんには自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)など発達上の特性があり、クラスでの疎外感から先輩らとの人間関係を居場所として求め、いじめ被害を受けたと分析している。

 再調査委員会は、尾木氏や野村氏のほか、精神科医の斎藤環氏らのメンバーで構成。22年12月以降、22回にわたり会合を重ねていた。

 再調査委は「市の情報管理に懸念がある」として、市長に報告書を提出する答申は予定を延期したと明らかにした。

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