黒岩敏幸氏 高木美帆が金に届かなかった“敗因”とは 伸び欠いたラスト1周、軟らかい氷への対応

2022年02月08日 05:30

スピードスケート

黒岩敏幸氏 高木美帆が金に届かなかった“敗因”とは 伸び欠いたラスト1周、軟らかい氷への対応
スピードスケート女子1500メートルのレースを終え厳しい表情の高木美帆(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 【北京五輪第4日 スピードスケート女子1500メートル ( 2022年2月7日    国家スピードスケート館 )】 【スピードスケート斬る 黒岩敏幸】スピードスケート女子1500メートルで今季W杯出場3戦全勝で金メダル候補だった高木美帆(27=日体大職)は2大会連続の銀メダルに終わった。金メダルを獲得したのは前回覇者のイレイン・ブスト(35=オランダ)。スポニチ本紙評論家の黒岩敏幸氏が高木美の“敗因”を探った。
 高木美はラスト200メートルが伸びなかった。1100メートルまではブストに0秒03差の2番手。いい時の高木美は残り1周でギアが1段上がり、ぐんぐん脚が動く。

 しかし、この日は疲れから脚を引きつけられずバタついた。1100メートル~1500メートルのラップはブストの30秒81に対して高木美は31秒22。ラスト1周が勝負を分けた。

 1分53秒72は決して悪いタイムではない。ただ好調時の高木なら1分53秒28のブストに勝つチャンスはあったと思う。

 本来の力を出し切れていない要因の一つに氷のコンディションがあるかもしれない。高木は練習ではいいラップタイムが出ているという。今回のリンクはカルガリーのリンクの製氷担当者が整備している。質の高い氷で練習の時にはしまっている。だが、レース時には会場の人が増えて室温が上がり、氷が軟らかくなる。

 軟らかい氷を滑るには力が必要で、脚への負担が大きい。今大会のここまでのレースでは優勝者のタイムは出ているものの、多くの選手は終盤で失速している。元々パワーがあり、心身ともに合わせてきたブストは軟らかい氷にしっかり対応し、終盤の失速を抑えることができたのだろう。

 しかし、ブストは五輪に強い。平昌の時も今回もシーズン前半のW杯では勝っていなかった。本当にタフな選手だ。高木美は滑りにズレが生じているとは思わない。次の500メートルまで5日間空く。疲れを取って、リフレッシュし、体調を整えて臨んでほしい。(92年アルベールビル五輪男子500メートル銀メダリスト)

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