【羽生結弦さん GIFTalk(2)】「幸せな経験をさせていただいた」「少しでも力になれば」
2023年02月26日 21:54
フィギュアスケート
――今日選んだプログラムを夢と関連づけようとしていたか
「なんか、それぞれのプログラムたちってやっぱり、それぞれ違う意味を持っていて。本来はGIFTっていう物語とはまったく関係のないプログラムだったんですよね。ただ、今回GIFTという物語の中にこのプログラムたちが入ることによって、もしくは演出とともにこのプログラムがあることによって、また新しい意味をつけられるんではないかなということを考えて滑りました。なんか、フィギュアスケートってもちろん歌詞があるプログラムももちろんありますし、だけど、言葉のない身体表現だからこそ、受け手の方々がいろんなことを感じることができるっていうのがフィギュアスケートの醍醐味かなって思っていて。だからこそ、物語を作って、で、その物語の中の1つのピースとしてプログラムが見られた時に、どんなことをみなさん受け取ってくださるかなということを考えながらプログラムを構成していきました」
――3万5000人のパワーと対峙した。今後にどう生きていくか
「正直、この会場に入って思ったことは自分って、なんてちっぽけな人間なんだろうってことでした。やっぱフィギュアスケートってほんとに一人の人間、もしくは二人の人間がやるスポーツですし。それを表現としてアートとして作り上げていくことももちろん大事ですけど、まずは僕は男子シングルなんで、男子シングルのスポーツ選手としてやる時に、ほんとにちっぽけな人間だなって。ただ、その3万5000人の方々、後はこの空間全体を使った演出をしてくださったみなさんの力を借りたからこそ、ちっぽけな人間であったとしても、いろんな力がみなさんに届いたんじゃないかなって気持ちはちょっとしているんですよ。だから、ある意味では震災の時に一人一人だったらきっと何もできなかったなっていう記憶とちょっと似ていて。みなさんの力が羽生結弦という1つの存在に対して集まったからこそ、絆があったからこそ、力が伝えられた公演だったんじゃないかなって思います」
――ドームの景色とは
「技術的に言えば、平衡感覚はすごくつかみづらかったです。まあ、スポーツ選手なんでそういうこと言っちゃうんですけど。でも、やっぱりこれだけの方々の前で歓声を浴びながら6分間練習だったり、試合のプログラムをいろいろやってみて、ほんとに幸せでしたし。なにより、こうやって一人の人間にこれだけの力が集まることってほんとに普通はありえないことなんで。幸せな経験をさせていただいたので、ちょっとでもこの幸せな経験から自分から発せられた思いだとか、そういったものが未来が見えない今の世の中に対して少しでも力になればいいなって思います」
――魂の世界を旅しているメッセージもあったのか
「う~ん、なんだろ。魂というより、僕の中ではペルソナ。みなさんがそれぞれ社会にいる時に使っている自分の顔だとか、仮面だとかそういったイメージで考えてくださると、僕にとってこうやってしゃべっている時だってきっと、自分が見せたい羽生結弦を出しているんだと思いますし。でもきっと、話しながらも心の中でくすぶっている羽生結弦もいるんだなと思っていますし。それはたぶん僕だけじゃなくてみなさんも。だから、少しでも自分自身が持っている、みなさんが持っている本質的なみなさんとペルソナのみなさんを認めていけるような、認めてあげられるような時間になったらいいなと思います」 =終わり=
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