山内日菜子 史上最大下克上初V「もう一人の日菜子を知っていただけたかな」

2023年03月27日 04:37

ゴルフ

山内日菜子 史上最大下克上初V「もう一人の日菜子を知っていただけたかな」
桜を背に笑顔の山内日菜子(撮影・上田章博) Photo By スポニチ
 【女子ゴルフツアーアクサ・レディース 最終日 ( 2023年3月26日    宮崎県 UMKC=6565ヤード、パー72 )】 1打差2位から出た山内日菜子(26=ライク)が4バーディー、2ボギーの70で回り、通算10アンダーで逆転してツアー初優勝を飾った。プロ8年目、地元・宮崎で手にした念願の勝利。QTランク181位から主催者推薦で得た今季レギュラーツアー初戦で、“史上最大”の下克上Vを果たした。通算9アンダーの2位には71で回った比嘉真美子(29=TOYO TIRE)が続いた。
 まさに涙、涙の初優勝だった。ウイニングパットを沈めた山内は涙を何度も拭う。優勝スピーチも、会見でも涙。「泣きっぱなしで申し訳ない…」。下部ツアーすら出場できない、QTランク181位からの下克上Vだ。

 「チャンスを生かせて良かった。地元での優勝は心の底からうれしい。最後まで諦めない気持ちで頑張った」

 小学3年から回る“庭”が味方になった。2、3番と連続ボギー先行で後退。それでも「まだバーディーを取れるホールがある」と発奮した。首位に並んで迎えた16番パー3。おにぎりを頬張ったまま放った第1打を5メートルに寄せてバーディーを奪い、単独首位に立った。WBCでガムをかむ選手を見て、「口を動かした方がいいと。もぐもぐしながら打った」と緊張を振り払った結果だった。

 昨秋は絶望に打ちひしがれていた。出場資格を争うファーストQTで規定数より多いクラブをバッグに入れてプレーし、計8罰打を受けて失敗。父・克則さん(57)に泣きながら「ごめん」と電話した。当時は「終わった」とまで思ったが、折れなかった。知人からの「ひなちゃんはシードを獲れる力がある」という言葉が、失った自信を思い出させてくれた。「考えが甘かった」と自身と向き合い、弱点のティーショットの持ち球をドローに変えた。つらい経験を無駄にしなかった。

 「宮崎の太陽を受けて育つ菜の花のように」と名付けられた26歳。ゴルフ界で「ひなこ」と言えば渋野日向子が随一の知名度を誇るが、「もう一人の日菜子を知っていただけたかな」と笑った。その存在を十分に印象づける、崖っ縁からの初優勝になった。

 ≪両親も見守り涙≫山内の父・克則さんと母・由美さん(52)はコースで優勝を見守り、涙を流した。克則さんは「うまくいくようにと祈っていました」。昨秋QTで失敗した際には、「1人しかこの経験はできないから一生忘れるな」と伝えて励ましたという。由美さんは「コツコツ地道にやってきて、宮崎でみんなの前で優勝するのは奇跡のようで信じられません」とねぎらった。グリーンサイドには同じ宮崎出身の柏原明日架、脇元華らも駆けつけ祝福した。

 ▽QTランキング QTは例年11~12月に実施されるクオリファイング・トーナメントの略。この順位であるQTランクに基づき、第1回リランキングまでの前半戦のJLPGAツアーおよび下部ツアーの出場資格が付与される。QTは2ステージ制でファーストの上位者が、ファイナルに進出する形。前半戦にフル出場できる目安は35位前後までで、山内の181位は下部ツアー出場権も厳しい順位だった。

 

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