貴景勝 4度目優勝 大関の意地!決定戦で熱海富士下す「負けるもんか」執念の“変化”でカド番脱出

2023年09月25日 05:00

相撲

貴景勝 4度目優勝 大関の意地!決定戦で熱海富士下す「負けるもんか」執念の“変化”でカド番脱出
熱海富士(左)をはたき込みで下す貴景勝(撮影・久冨木 修) Photo By スポニチ
 【大相撲秋場所千秋楽 ( 2023年9月24日    両国国技館 )】 カド番大関の貴景勝が初場所以来4場所ぶり4度目の優勝を果たした。本割で大栄翔を送り出し、11勝4敗で並んだ熱海富士との優勝決定戦をはたき込んだ。今年初の複数回優勝で、11勝での優勝は17年秋場所の日馬富士以来、1場所15日制では4度目の最少記録。九州場所(11月12日初日、福岡国際センター)で綱獲りに挑む。
 この日2番を制し、逆転で賜杯を抱いた。それでも支度部屋、優勝インタビューでも貴景勝は感情を封印した。照ノ富士が全休の今場所、大関の責任を果たせた手応えをまず語った。

 「勝たないといけない気持ちでした。とにかく負けるもんかと思ってやりました」

 大栄翔戦は激しくぶつかった。突っ張りを受け止めること計14発。立ち合いの位置から一歩として引かず反撃開始。最後は左はず押しで突き上げて送り出した。

 優勝決定戦は熱海富士得意の右差しを封じるため左へ動く。大柄の21歳が低く踏み込んだため、前へ落ちた。「ああいう形で決まるとは思わなかった。(熱海富士は)将来必ず強くなる。壁になれるよう強くなるだけです」。勝者は淡々と語った。

 全休明けの優勝は夏場所での横綱・照ノ富士以来で、大関では03年春場所の千代大海以来2度目。カド番の優勝は16年秋場所の豪栄道以来7年ぶり。喜びを語ったのはほんの一瞬だった。

 両膝半月板損傷のため全休した7月。テレビ中継を見ながら「悔しい思い」と告白した。前回綱獲りだった春場所も途中休場。「本当に大事なところでケガする。本当の強さが備わってない」。体づくりを見つめ直した。場所中も連絡を取る埼玉栄高の恩師・山田道紀監督は「初日負けたとき、悪くないと思った。膝の状態は本当に良かった」と証言する。貴景勝も「ある程度の成績を残せた。無駄ではなかった」とようやく好感触を語った。

 4度の優勝は37人目。過去36人のうち大関止まりは5度優勝の魁皇(現浅香山親方)のみで、九州場所で挑む綱獲りへの機運は高まっている。

 9年前に序ノ口デビューし、7戦全勝で優勝した一年納めの場所。当時の貴乃花部屋での朝6時開始の稽古を思い返し「夢を見て相撲界に飛び込んだ。今から夢に向かって11月場所に備えたい」。横綱審議委員会の内規では2場所連続優勝か、それに準じる成績が昇進条件。自らにできることは何か、知っている。

 ≪昇進は来場所レベルの高い優勝なら≫昇進問題を預かる審判部の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は貴景勝の九州場所での綱獲りについて「11勝(の優勝)ですからね。何ともですね。の15日間を見てみないと」と慎重な見解を示した。今年は2度優勝しているとはいえ、春場所は途中休場、夏は8勝、名古屋も全休。安定感には欠けており「レベルの高い優勝なら。まあ内容を見て」とハイレベルの優勝を求めた。

 ◇貴景勝 貴信(たかけいしょう・たかのぶ=本名・佐藤貴信)1996年(平8)8月5日生まれ、兵庫県芦屋市出身の27歳。中学3年で中学横綱。埼玉栄高3年の14年秋場所に貴乃花部屋から初土俵を踏む。17年初場所で新入幕を果たし、19年初場所で新関脇。同年春場所後に大関昇進した。在位2場所で転落し1場所で復帰。18年10月に千賀ノ浦部屋(現常盤山部屋)に移籍。優勝4回。殊勲賞3回、敢闘賞2回、技能賞2回。得意は突き、押し。1メートル75、165キロ。

おすすめテーマ

2023年09月25日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム