女子マラソン日本最高記録を更新した前田穂南も「晴れの国」で開花…高校恩師はあのロッテ大砲の父親

2024年01月30日 15:30

陸上

女子マラソン日本最高記録を更新した前田穂南も「晴れの国」で開花…高校恩師はあのロッテ大砲の父親
現在読んでいる阪神・岡田監督の著書を手に笑顔の前田穂南 Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツと人間】早熟の天才があらゆる年代別カテゴリーの壁をぶち抜いていく若竹のような成長も爽快だが、遅咲きの「雑草」が満を持して氷雪を貫いて美しい花を咲かせる瞬間を目撃するのは格別だ。
 競技性からだろうか。マラソンでは後者により強い感銘を受ける。

 大阪国際女子マラソンで19年ぶりに日本最高記録を更新した前田穂南(天満屋)は2大会連続五輪メダリストの有森裕子、女子マラソン初の五輪金メダリスト・高橋尚子から続く「雑草」の系譜だ。

 大阪薫英女学院時代は一度も駅伝メンバーに選ばれたことがない。3年間控え。1学年上の松田瑞生が「不動のエース」として華やかに活躍していたのとは対照的だ。

 今回のマラソン中継局が前田の高校時代の恩師・安田功陸上部監督にインタビューしていた。

 「(前田は)将来性は十分あったが筋力的に弱い部分がありましたので」

 高校時代は今以上に線が細かった。追い込んだ練習はケガを招くという指導者の素晴らしい判断が、今回の日本最高記録の更新に繋がったのだろう。

 安田功氏は、ロッテの若き大砲・安田尚憲の父親でもある。安田は履正社時代、1日7000キロカロリーを摂取することであの大砲にふさわしい1メートル88の巨体を作り上げた。

 高校時代に長期的なビジョンを持った指導者と巡り会えたことは幸運だ(安田にとってはそれが家族だった)。

 もちろんこれまで山口衛里、坂本直子、中村友梨香らを五輪に送り出した天満屋という素晴らしいチームで、武冨豊氏という名伯楽と出会ったことが一番大きい。

 天満屋といえば岡山。「晴れの国」と呼ばれる温暖な地のスポーツチームや出身者の活躍が続いている。

 一昨年末から全国高校駅伝男子で倉敷の優勝、昨冬の全国高校サッカー選手権で岡山学芸館高が初優勝、陸上中長距離の新星、ドルーリー朱瑛里の登場、そして山本由伸の3年連続投手3冠&ドジャース移籍もあった。

 昨年末には全国中学校駅伝で京山中が史上2校目のアベック優勝達成、京山中で女子アンカーを務めた黒田六花の兄、朝日の青山学院大での箱根駅伝総合優勝、もう一人の兄・然も含めた黒田きょうだいの活躍はめざましい。

 まだある。春の高校バレー女子で就実高校が優勝、ボクシングでもWBA世界フライタイトルマッチで勝利したユーリ阿久井政悟(倉敷守安)という岡山県のジム所属初の世界王者が誕生した。

 そして前田穂南の快挙。ここまで来ると単なるブームではなく、岡山県としての取り組みが成果となって現れているのだろう。
 

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