【砂村光信・視点(1)】TMOに時間が費やされた決勝 求められるレフェリー自身の決断力

2024年05月26日 21:05

ラグビー

【砂村光信・視点(1)】TMOに時間が費やされた決勝 求められるレフェリー自身の決断力
<埼玉・BL東京>長田のトライ後のTMOの結果、スローフォワードと判定された堀江は首をかしげる(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【ラグビーリーグワン1部プレーオフトーナメント決勝   BL東京 24―20 埼玉 ( 2024年5月26日    東京・国立競技場 )】 BL東京のリーチ主将が試合後の記者会見で「今日の勝因はTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)」と話していた。TMOを経て下された判定は尊重されるべきで、どちらが有利になったかを問うつもりもないが、TMOに至るプロセスには疑問が残った。
 前半最初のトライ取り消しや、最後の堀江のスローフォワードなどはレフェリーの目の前で起きたプレーだ。だが、中継の音声では、TMOの担当者に指摘されてからレフェリーがTMOを要求したように聞こえた。堀江のスローフォワードはパスした時の手首が前にいっているとの理由付けがTMO側からあったが、そもそも前に投げようとする選手はいないし、映像は角度によって見え方が変わることもある。横にもアシスタントレフェリーがいた状況で選択したレフェリーの判断を、TMOの意見で覆してしまったように視聴者は受け取るはずだ。

 目の前で見たプレーの判定に自信がないのであれば、レフェリーはまず自分で試合を止めてTMOに映像のチェックを要請するのがすじだ。世界的にも最後に判定を下すのはレフェリーであり、TMOに言われたからといって判断を覆すのであれば、判定はAIに任せた方がいいと言われかねないし、レフェリーの威厳も保てなくなる。

 準決勝はTMOに持ち込まれるケースが少なく、決勝に比べて試合進行もスムーズだった。今季のリーグワンを振り返っても、レフェリーや担当者によってTMOに費やされる時間に差があった印象を受けた。TMOはあくまでも映像でアドバイスを送る立場に過ぎず、判断する主体はレフェリーだ。TMOを乱発すると試合時間が長くなる弊害もあり、レフェリーは自分自身の決断力と速い意思決定が求められていることを改めて意識すべきだろう。
(元U―23日本代表監督)

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