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笹生 3差逆転で日本勢初のメジャー2勝目 19歳で全米女王に輝いた21年以来「長く待った分、格別」

2024年06月04日 05:00

ゴルフ

笹生 3差逆転で日本勢初のメジャー2勝目 19歳で全米女王に輝いた21年以来「長く待った分、格別」
トロフィーを掲げる笹生(AP) Photo By AP
 【米女子ゴルフツアー 全米女子オープン最終日 ( 2024年6月2日    米ペンシルベニア州 ランカスターCC=6629ヤード、パー70 )】 21年大会覇者の笹生優花(22=フリー)が男女通じて日本勢初となるメジャー通算2勝目を飾った。3打差5位から5バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68をマークし、通算4アンダーに伸ばして逆転。22歳11カ月13日での大会2勝は、史上最年少記録となった。4位から出た渋野日向子(25=サントリー)は72にまとめ、通算1アンダーで大会自己最高の2位に入った。
 あふれ出る涙をこらえられきれなかった。観客に囲まれた18番グリーンでの優勝インタビュー。笹生が流ちょうな英語で家族について語った時だった。「私は家族の支えなしにここにはいられなかった。両親に恩返しできてうれしい」。2つの国籍を保持していた21年は母の国フィリピン、日本国籍を選択した今回は父の国の選手として出場。両親それぞれの母国の国籍で2度、世界最高峰の大会を制した。

 「また優勝できるのか不安に思うこともあった。これまでの経験が生きた。長く待った分、格別。実力を証明することにもつながる」

 3打差を追った最終日にポイントに挙げたのは、6番パー3での4パットのダブルボギーだった。この時点で首位ミンジ・リーと4打差となったが、動じなかった。思えば3年前も2、3番での連続ダブルボギーから始まった。「幸運のダブルボギーだと思う」。逆襲はバックナインから。12番で3メートルを沈めて並ぶと、続く13番パー5では飛距離を生かして第3打を90センチにつけ単独首位に立った。最終ホールでは観客から、「Yuuu!」と優花の名前から取ったコールで出迎えられた。

 わずか19歳で全米女王に輝いた。しかし2年間は勝利なし。昨季はメジャー2戦でトップ3と上位争いを何度も繰り広げながら、あと一歩優勝に届かなかった。父・正和さん(66)から言われたことがある。「平常心で、最後まで諦めないことだ」。男子メジャー3勝のジョーダン・スピースが師事するコーチのキャメロン・マコーミック氏にはショートゲームを教わった。強いメンタル、そして平均飛距離265ヤード超という持ち前の飛距離に加わった小技。勝利へのピースがハマった結果だった。

 この勝利で世界ランクは日本勢トップに浮上する見込みで、8月のパリ五輪代表入りに大きく前進した。前回の21年東京五輪はフィリピン代表として出場し、今度は日本代表として出場する。五輪への思いを問われ、笹生は力強く言った。「これからの試合にしっかりと集中して。自分にチャンスをあげたいなと思う」。幼少期に世界一をプロとしての最終目標に掲げた22歳には夢の続きがある。

 ≪朴仁妃超え最年少で2勝≫全米女子オープン2勝目を22歳11カ月13日で達成した笹生は、13年に24歳11カ月18日で2勝目を挙げた朴仁妃(パク・インビ=韓国)を抜いて史上最年少記録となった。笹生は初めて全米女子オープンを制した時も朴仁妃と並ぶ19歳11カ月17日で最年少記録だった。複数回優勝は16人目。米ツアー初勝利と2勝目がメジャーだったのは朴セリ、田仁智(チョン・インジ=ともに韓国)に次ぐ3人目だった。

 ▽21年全米女子オープンVTR 2位から73で回った笹生、6位から68で回った畑岡が通算4アンダーで並び日本勢同士によるプレーオフに突入した。2ホールのストロークプレーによるプレーオフは両者ともに2ホールパー。サドンデスに変わったプレーオフの1ホール目、通算3ホール目で笹生がバーディーを奪い、メジャー初制覇を飾った。

 【笹生 優花(さそう・ゆうか)】

 ☆生年月日 2001年(平13)6月20日生まれ、東京都出身の22歳。

 ☆サイズ 1メートル66、63キロ。

 ☆家族 父・正和さん、母・フリッツィさん、妹と弟3人。日本とフィリピン育ち。

 ☆ゴルフ歴 8歳で始める。小3で金銭的にも練習環境のいい母の故郷フィリピンへ。14歳でフィリピンのプロツアー優勝。18年にフィリピン代表として出場したアジア大会で個人・団体ともに金メダル。19年のオーガスタ女子アマは3位。

 ☆プロ転向 19年のプロテスト18位。20年1月に入会。同年8月のNEC軽井沢72で国内ツアー初優勝を果たすと、ニトリ・レディースで2大会連続優勝。

 ☆巨人の星 子供の頃から毎日、朝5時から練習を始めてボクシングのミット打ちなど父・正和さんと2人で鍛え、小3で70ヤードの飛距離。飛距離は1年で30ヤード、13歳からは50ヤードずつ伸び、今季ここまでのドライビングディスタンスは265.93ヤード。

 ☆好きな選手 ロリー・マキロイとタイガー・ウッズ。

 ☆「女ウッズ」 NEC軽井沢72で、最終日に同組で回った藤田さいきの「タイガー・ウッズさんと回ってるみたい」という言葉と、その日のウエアが赤のシャツと黒のパンツだったことから呼ばれるようになった。

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