【スポニチスカウト部(26)】花巻東・千葉柚樹 自分の打撃に集中し覚醒

2023年08月01日 06:00

野球

【スポニチスカウト部(26)】花巻東・千葉柚樹 自分の打撃に集中し覚醒
逆方向への長打が持ち味の花巻東の4番・千葉 Photo By スポニチ
 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第26回は甲子園出場を決めた花巻東(岩手)の千葉柚樹内野手(3年)。今秋ドラフト1位候補の怪物・佐々木麟太郎内野手(3年)を擁するチームの4番の思いに迫った。 【ドラフト速報
 千葉の表情にようやく笑みがこぼれた。今夏の岩手大会の盛岡誠桜との準々決勝。6回2死一、二塁で3番の佐々木麟が申告敬遠されて迎えた第4打席。フルカウントからの直球を強振すると、打球は中前へ。好機での役割を果たした以上に、4番としての意地を見せつけられたことがうれしかった。

 高校通算25本塁打を誇りながら、140発の佐々木麟と比較され、今春からは前を打つ佐々木麟が勝負を避けられることがより増えていた。「あの悔しさがあったからこそ成長できた」と振り返ったのが、ノースアジア大明桜(秋田)との今春の東北大会準々決勝。2点を追う5回2死二、三塁で佐々木麟が申告敬遠されると、千葉が遊ゴロに倒れて無得点。7回も2死二塁から前の打者が歩かされると、右飛に倒れ「夏はこういう場面が多くなるので自分が打てないと」と悔しさを口にしていた。

 当初は「なんでだって悔しい思いもあった」と明かしたが、徐々に気持ちに変化が。「冷静に考えたら敵チームで140本も打つ選手がいたら歩かせるなと。勝負されないのは当然だと思って余計なことは考えないようにした」。自分の打撃に徹することだけを考えた結果、持ち味の逆方向への長打も増加。今夏準々決勝での適時打は、悔しさを味わった春と同じ公式戦で打てたからこそ「公式戦でも打てて良かった」と、鬱憤(うっぷん)を晴らし胸を張った。

 将来は巨人・岡本和やカブス・鈴木のような、逆方向へも大きな当たりが打てる右の強打者が目標。「いつかはプロになりたい」。高校最後の夏は22年春以来、自身2度目の甲子園出場も決めた。聖地で躍動し、今後の野球人生を大きく変えるためにも「チームの勝ちが最優先だが、個人としてもいい結果を残せれば」と活躍を誓った。(村井 樹)


 ≪重圧はねのけVけん引≫ 打順は3、4番。守備も一塁と二塁。千葉にとって佐々木麟は試合中、常に横にいる存在だ。好機で佐々木麟に打席が回りそうになると、自身が勝負を避けられることを予想し千葉へ声をかけることも。気合が入る一方で千葉は「楽になることもあるが、余計に考えてしまうこともありますね」と苦笑いを浮かべながら本音を漏らした。今夏はそんなプレッシャーもはねのけて全試合フル出場で優勝に貢献。主将として「この仲間と少しでも長く野球がやれれば」と見据えた。

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