【赤星憲広氏 走塁塾】後ろを打つ打者への配球も頭に入れるべし

2023年09月29日 08:00

野球

【赤星憲広氏 走塁塾】後ろを打つ打者への配球も頭に入れるべし
06年8月、打者・関本の時にスタートする赤星。後ろを打つ打者への配球も頭に入れてスタートすることが大切
 阪神OBで本紙評論家の赤星憲広氏(47)が野球少年少女や指導者に走塁技術を指南する「走塁塾」。最終となる第6回は「スタートを切るには配球の勉強も必要」です。盗塁王5度、通算381盗塁のスペシャリストが語る、最後の極意です。
 スーパークイックで投げる投手からは、基本的には走りません。私は成功する自信が80%以上ないとスタートは切りませんでした。盗塁死や走塁死は試合の流れを止めたり、変えたりするもの。運頼みはしませんでした。

 ただ、どの投手に対しても“走るチャンス”をいつも、うかがっていました。たとえば私が一塁に出たとします。打者は、そうですね、当時、打順2番が多かった関本賢太郎としましょう。投手はクイックができる、そして投球フォームにクセもない…。これでは普通は走れないですが、相手バッテリーが関本に対してどういう配球をして、どのカウントで変化球、特にゆるいカーブを投げるのかは前日によく調べていました。もし走るとしたら、その一球です。だから相手の先発投手が私に対してどう攻めてくるかはもちろん、関本の時、後ろを打つアンディー・シーツや金本知憲さんの時の投球の傾向は頭に入れていました。

 できれば2球目までに走りたい。もちろんベストは初球です。打者に迷惑をかけたくないので、追い込まれるまでに二塁に進んでおきたい。関本や金本さんは僕が走るまでよく待ってくれていました。なので、逆にこの投手からは走るのは難しいなと思う時は、試合前にそう伝えて1球目からどんどん打ってくださいと打ち合わせていました。

 スタートは切らなくても僕が一塁ベースから走るそぶりを大げさにすることで、相手捕手の視界には入ります。出すサインは真っすぐが多くなります。打者がそれを狙って一、二塁間に打てば一、三塁をつくれます。これが打線のつながりだと思います。一度それが決まれば、次はそうさせないために変化球から入ってくるかもしれません。変化球から入るなら、私が走ればいい…。

 もっと言えば、それ以前にボクを塁に出したくなくなるでしょうから、その投手の一番自信のある球、カウントが投手不利になればもっともストライクを取る自信のある球の確率が増える。なのでそれを待てば良い。このように相手バッテリーとはずっと駆け引きしていました。イタチごっこの繰り返しでした。=終わり=

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