耐久 1852年創立の超伝統校が初聖地「当確」 エース冷水が1失点完投「信じられないです」

2023年10月30日 07:00

野球

耐久 1852年創立の超伝統校が初聖地「当確」 エース冷水が1失点完投「信じられないです」
<須磨翔風・耐久> 耐久の先発・冷水は9回1失点の好投を見せ、完投勝利を挙げる (撮影・後藤 大輝) Photo By スポニチ
 【秋季高校野球近畿大会準々決勝   耐久4─1須磨翔風 ( 2023年10月29日    シティ信金スタジアム )】 第96回選抜高校野球大会(来年3月18日から13日間、甲子園)出場校選考の重要資料となる秋季近畿大会は準々決勝3試合が行われ、耐久(和歌山1位)などが4強入りし、来春選抜出場に当確ランプをともした。嘉永5年(1852年)創立の超伝統校・耐久は出場決定となれば、春夏通じて初の甲子園出場となる。
 日本有数の伝統校が、あまりに重かった聖地への扉を動かした。「甲子園に行きたいと思っていましたけど、まさか実現する(可能性が高くなる)とは…。信じられないです」。耐久の先発右腕・冷水(しみず)孝輔(2年)が10安打で1失点と校名のごとく我慢の投球。前日の1回戦・社(兵庫3位)戦で投じた162球に続き、計108球での完投勝利を飾った。

 同校創立の1852年は、ペリーが黒船で日本に来航する1年前。野球が伝来する1872年(明5)よりも前に人材育成の稽古場として学校が建てられた。創部は日露戦争終結の1905年(明38)で、来年が節目の120年目となる。同校OBの井原正善監督は「先人が受け継いでくれたからこそ花が開いた」と長い歴史に思いをはせた。

 歴史を動かしたのはエースの冷水だ。中学時代には強豪私学から勧誘を受けた好投手で、3学年上の兄・秀輔(現中部学院大)の後を追って耐久に進学した。井原監督は「冷水の弟が入ってきて楽しみだなと思っていた」と明かす。1年秋から背番号1を与えられ、今秋は県1次予選から全8戦計70イニングでマウンドを譲ったのは1イニングのみ。自己最速は3キロ更新して142キロとした。昔ながらの鉄腕が、快進撃を呼んだ。

 主将の赤山侑斗(2年)は「ネットニュースを見て“こんなに歴史のある学校だったのだな”と思いました」と笑う。練習場はサッカー部や陸上部などと共用で、平日の守備練習は内野ノックに限られる。部員数は19人で、大半が学校の位置する有田郡出身の地元軍団。昔から環境は大きく変わらずとも、冷水を中心に歴史を動かした。 (河合 洋介)

 ◇冷水 孝輔(しみず・こうすけ)2006年(平18)7月30日生まれ、和歌山県海南市出身の17歳。小学1年から加茂仲良しクラブで野球を始めて捕手と投手。中学では有田リトルシニアに所属した。耐久では1年春から背番号20でベンチ入りし、同秋から背番号1。1メートル73、88キロ。右投げ右打ち。

 ▽和歌山県立耐久(たいきゅう)高校 実業家の浜口梧陵らが幕末の国際情勢に備える人材養成のため1852年(嘉永5)に広村に創設した稽古場を始めとする。耐久社、耐久学舎などに改名を経て1920年(大9)に県へ移管。48年(昭23)に現在の校名に。校訓は「真・健・美」。所在地は和歌山県有田郡湯浅町湯浅1985。主なOBに金森隆浩(元中日)。

おすすめテーマ

2023年10月30日のニュース

特集

野球のランキング

【楽天】オススメアイテム