楽天ドラ8・青野 避難所から入寮 富山・氷見市で被災…在学中の氷見高体育館で不安な一夜過ごした

2024年01月07日 05:30

野球

楽天ドラ8・青野 避難所から入寮 富山・氷見市で被災…在学中の氷見高体育館で不安な一夜過ごした
青野は避難所で先輩とキャッチボールをした時のボールを持って入寮(撮影・篠原 岳夫) Photo By スポニチ
 楽天は6日、新人8選手が仙台市内の「犬鷲寮」に入寮した。ドラフト8位の青野拓海内野手(18=氷見)は元日に地元の富山県氷見市で能登半島地震に見舞われた。1日夜から2日朝にかけて、母校で避難所生活を送った際にキャッチボールした魂のボールを手にプロでの活躍を誓った。
 一生忘れられない日になった。元日の午後4時10分。自宅の裏にある祖父母の家で仮眠していた青野を、震度5強の大きな揺れが襲った。

 「1度目(の揺れ)はちょっと起きたんですけど、眠たかったのですぐ寝た。2回目で起きた時には、家の中の親戚が誰もいなくなっていて、取り残された状態でした」

 父に起こされ、慌てて避難した。自宅はテーブルの上の物が落ちた程度で済んだが余震が続き、津波警報が発令された。避難所となった在学中の氷見高の体育館で、家族らと不安な一夜を過ごした。

 プロ入りを控えた大事な時期。心が安まらない状況の中、1学年上の主将で、名城大でプレーする河原新之助が声をかけてくれた。「ずっと座っていたら、なまってしまう。先輩が気を使ってくれたのかな…」。体を動かすスペースのあった室内練習場で、キャッチボールを行い、来たるべき日に備えた。その際に使った、気持ちのこもったボールを寮に持ち込んだ。

 避難所では知人や、面識のない人からも「入団おめでとう」「しっかり体を鍛えて頑張ってきて」と温かい言葉を掛けられた。「うれしかった。より一層、頑張りたい気持ちが強くなった」。両親からも「仙台の方が安全。早く行っておいで」と背中を押された。寮の自室には「地元の味を忘れないために」と、名産「氷見はとむぎ茶」をそろえた。「石川県はもっとひどい状態にある。その方々に勇気とか、そういったものを届けられるように頑張りたい」。最速145キロのエースだったが、プロでは高校通算23本塁打の打力を武器に内野転向で勝負する。大きな志を胸に、プロの門を叩いた。(花里 雄太)

 ◇青野 拓海(あおの・たくみ)2005年(平17)7月26日生まれ、富山県氷見市出身の18歳。小3から窪スポーツ少年団で野球を始め、西條中までは捕手としてプレー。氷見では部員不足もあり、投手兼一塁手兼捕手を務めた。昨春の選抜に21世紀枠で出場し、最速145キロをマーク。高校通算23本塁打。23年ドラフト8位で楽天に入団。1メートル80、85キロ。右投げ右打ち。

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