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ヤンキース・ジャッジ ドジャース・大谷の打撃解説 ストライクゾーン支配する「コンプリートヒッター」

2024年07月15日 01:30

野球

ヤンキース・ジャッジ ドジャース・大谷の打撃解説 ストライクゾーン支配する「コンプリートヒッター」
ヤンキースのジャッジ(AP) Photo By AP
 【インターリーグ   ドジャース9-11タイガース ( 2024年7月13日    デトロイト )】 ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(32)がスポニチ本紙の取材に応じ、通算200本塁打に達したドジャース・大谷の今季の打撃などを解説した。米2大都市を本拠にともに大型契約を結び、「東のジャッジ」「西の大谷」時代が到来。大谷より2学年上で、2年早くメジャーデビューしたジャッジは、13日(日本時間14日)で通算291本塁打とした。ア、ナ両リーグを代表するメジャーの顔が、もう一人の顔について語った。(取材・杉浦大介通信員)
 「今の彼はコンプリートヒッター(完成された打者)だ。18年のメジャー移籍後、毎年のように成長し続け、パワー面で優れた数字を残すだけではなく、3割を超える打率を残すようになった」

 ジャッジはこの日のオリオールズ戦で前半戦球団新記録となる34号を放ち、ア・リーグの本塁打王争いを独走。通算300号にあと9本に迫る。85打点も断トツで、打率.308と初の3冠王のチャンスもあるジャッジは、今季の大谷が好調な理由が見えている。

 「球の見極めが良くなっている。最大の特徴はストライクゾーンをコントロールしていること。ストライクゾーンの中でボールを捉え、甘い球が来たら逃さない。捉えれば、とてつもない飛距離を飛ばす。右肘手術のリハビリと並行し、それらをやり遂げている」

 実際に大谷がボール球に手を出す割合を示すチェイス率は22年28.4%、23年29.7%に対し、今季は27.3%で、メジャー平均の28.4%を下回る。

 「引っ張ることも、逆方向にも打てるから、どの位置で守ったらいいか分からない。スピードもあり、内野が下がって守ればバントまで決めてしまう。守備でミスしたらもう間に合わなくなる」

 6月9日のドジャースとヤンキースの直接対決。大谷は浅い右飛で三塁からタッチアップを狙い、右翼手ジャッジが93.4マイル(約150キロ)の好返球を見せるも、秒速29.4フィート(約8.96メートル)の俊足で本塁生還を果たした。万能ぶりを改めて思い知らせたシーンだった。そして、“10月の再会”への期待も膨らむ。

 大谷とワールドシリーズで対戦できれば凄いことだと水を向けると「本当にその通りだね」と笑顔でグータッチを求めてきた。2人はこの先、どこまでアーチを積み上げていくのか。「予測するのは難しい。まだまだ僕たちの行く手には長い道が広がっているけど、野球が素晴らしいのはこの先何が起こるのか分からないことだ。彼はこのゲームのアンバサダー(大使、代表者)。その旅を目撃することが楽しみであり、野球の美しさなんだ」。自らにも言い聞かせるように笑った。

 ▽大谷とジャッジ 21年は9勝&46本塁打の大谷がMVPを受賞。22年も15勝&34本塁打の成績を残したが、ア・リーグ新記録の62本塁打を放ったジャッジにMVPを譲った。23年は10勝&44本塁打の大谷が再びMVPに輝いた。両者は過去22度の直接対決で、14度もどちらかが本塁打を記録。21年6月29日、22年8月29日はともに本塁打で“競演”した。22年5月31日は大谷が初回に中堅フェンス際に放った本塁打性の飛球を、ジャッジがジャンピングキャッチした。「投手・大谷」はジャッジに対して2打数2安打1本塁打と打ち込まれている。

 ≪700号も夢じゃない 350戦で100発≫大谷は21年以降、本塁打のペースを上げた。同年以降の本数はジャッジ172本に次ぐ153本で、3位以下を引き離す。22年5月の通算100号まで打者出場444試合で、そこから200号までの100本は350試合で達した。現在のペースで打ち続ければ、600号到達まであと1400試合(8・6シーズン)、700号には1750試合(10・8シーズン)で達する計算にはなる。

 2学年上で、2年早くデビューしたジャッジは、約2年前の22年7月30日に200号に到達。出場671試合目は歴代2位の速さとなり、年齢は30歳3カ月で、30歳0カ月の大谷よりも上だった。

 歴代最速200号はライアン・ハワードで658試合だったが、その後失速し通算382本に終わった。ベーブ・ルースは大谷より遅い817試合で達したが、現役序盤は飛ばない「デッドボール時代」で、現役の中盤から終盤にかけて本塁打数を伸ばした。歴代最多762本のバリー・ボンズ、同5位696本のアレックス・ロドリゲスも200号到達は大谷より遅い。若手時代は走力も武器としたオールラウンダーで、後の「ステロイド時代」に現在では禁止される薬物などでパワーをつけ、やはり中盤から終盤に量産した。

 波が少なくアーチを重ねたのが元同僚のアルバート・プホルスで200号は出場788試合、25歳8カ月だった。通算では歴代4位の703本塁打。終盤にかけて本数を減らしながら42歳だった22年までプレーした。大谷がどこまでその数字に迫れるか、一つの指標になるかもしれない。

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