ジャイアン声優・木村昴 先代・たてかべ和也さんの「最初で最後のアドバイス」語る 別れで意味を実感
2024年10月27日 17:50
芸能
「アドバイスを求めちゃったりするじゃないですか。声が近づいちゃったりする」というのが理由だったが、木村自身は「とにかく僕は不安で不安で仕方なくて」という状況だったという。
そこで新メンバーでの「ドラえもん」の放送が始まってすぐの頃、たてかべさんと親しかったドラえもん役の水田わさびに「こっそりと」たてかべさんに会わせてほしいと頼んだとした。
そうして「頼りたいなと思って」とたてかべさんと食事をすることに。「お座敷の大部屋だったんですけど、ふすまを開けて座ってる感じがもうめちゃくちゃジャイアンなんですよ」と木村。そこでわらをもつかむ思いで「たてかべさんはどういう気持ちでジャイアンを演じてらしたんですか?」「どういう声の出し方をして」などと「僕、全部聞きたかったんです」と質問攻めにしたとした。
するとたてかべさんは「いやあ、よく分かんねえよ俺は。もうジャイアンは昴のもんだから、俺がとやかく言うことはないもないよ」とあっさり。木村は「何も答えてくれないんですよ」と振り返った。
当時は「これがもうもどかしくて仕方なくて」「全く理解できなくて、やっぱり技術がほしかったんですよ」と語ったものの、しばらくして木村が20歳になり、酒が飲めるようになると、再び食事をすることになったとした。
そこで「もう後にも先にもこれが最後のアドバイスになるんですけど」と貴重な助言をもらったという。それは「ジャイアンは豪快なやつだから、思いっきりやりゃあいいんだよ」というものだった。
「この意味が分かったのが、もうたてかべさんが亡くなった時なんです」としみじみ。「棺に入っているたてかべさんと1回だけお会いできたんですよ。お顔を見る時間が、一対一で」と話し、「忘れもしないんですけど、(棺に)収まってる姿を見たら、オレンジのストライプのTシャツ着てらして。ジャイアンのTシャツですよね。マイク、ジャイアンのリサイタルの時のマイクとかぬいぐるみとかがいっぱい入ってて」と回顧した。
その時「この人最後までジャイアンやり切ったんだなっていう」と実感したといい、「これが僕が手に入れたい技術みたいなものとかよりも、人生かけて演じるキャラクターなんだなっていう覚悟が、そこでまた決まったって感じなんですよね。とにかくその姿が忘れられなくて」と言い切った。