シンクロ銅支えた伝統の染色技法 リオの太陽に負けない輝き実現
2016年08月21日 05:30
五輪
軽さを追求すると、生地が薄くなり発色性に欠ける。この壁を越えるため、開発チームは東レと共同開発した透けにくい特殊な生地を使った1枚仕立ての水着を作り上げた。新潟県十日町市の老舗の着物メーカーに依頼し、日本の伝統的な染色技法「手捺染(てなっせん)」で着色。世界ではデジタルプリントで表面に色を付ける染色法が主流だが、手捺染は生地の中まで染める。そのため、リフトなどで水着が伸びても生地の色が浮き上がることはない。リオの太陽の下、日本の伝統の技法が輝いた。
開発チームは井村監督と何度も打ち合わせ。ほぼ完成した6月下旬、井村監督から「音楽、演技を少し変更する」と言われ、一から作り直すことになった。最終的に完成したのは、選手たちがリオに渡る直前だった。
そんな苦労もあったが、銅メダルを手にして跳びはねて喜ぶ選手たちの姿を見て、金子さんは「私も涙がこみ上げてきました。この水着に携われたことは私の一生の誇りになりました」と感極まった。手捺染を手掛けたメーカーの常務、関口芳弘さん(64)も「無事役目が果たせてほっとした。東京五輪に向け日本のアピールに生きるんじゃないか」と話した。日本の最先端技術と伝統の技法の結集が、シンクロ日本を復活へ導いた。