【アジア杯】林陵平氏が読み解くインドネシア戦 好循環生む冨安の“調整力” ポケット攻略“道筋”見えず

2024年01月26日 04:43

サッカー

【アジア杯】林陵平氏が読み解くインドネシア戦 好循環生む冨安の“調整力” ポケット攻略“道筋”見えず
インドネシア戦で存在感を見せた冨安(撮影・西海健太郎) Photo By スポニチ
 3大会ぶり5度目の優勝を狙う日本代表は24日、1次リーグD組の最終第3戦でインドネシアに3―1で勝利。初めて2位通過となるも、9大会連続の1次リーグ突破を決めた。快勝ではなかったが、現役時代はFWとして柏でJ1制覇も経験し、現在は理論派の解説者としても活躍する東大サッカー部前監督の林陵平氏(37)は、チームの修正力を評価。鋭い視点で決勝トーナメントに向けた攻守の課題なども分析した。
 FIFAランク146位の相手に快勝とはいかなかったが、林氏は「あまりチャンスをつくり出せていなかったけど、前の2試合(ベトナム戦、イラク戦)と比べたら、うまく戦えていたと思う」と評価した。

 成長部分としてまず指摘したのが「初期配置から4―3―3で臨めた点」。初戦のベトナム戦では、自陣に引いて5―4―1でブロックを敷く同様の戦術に苦戦。だが後半に4―2―3―1から4―3―3に変更し、攻守で改善された。

 「攻撃では(相手の)守備と中盤のライン間にインサイドハーフ(久保、旗手)の2人を置いて、3バックの両脇をつり出す。それがまず良かった。守備も両ウイングが3バックの両脇、2ボランチをインサイドハーフが見て、ウイングバックにサイドバックが出る。後ろも相手FWを同数でつかまえられていた」。まさに初戦の教訓が生かされた形だ。

 個人では、今大会初先発だった冨安の存在に目を引いたという。対人の強さやビルドアップ能力の高さに加え、林氏が指摘する背番号22の凄さは他にもある。

 (1)ラインコントロール能力
 「相手のボールホルダーの状況、相手へのプレッシャーの有無など、味方全体のバランスや中盤とFWの距離感とかを見ながら、最終ラインを調整している。その調整が冨安は抜群」

 (2)全体を動かす守備
 久保も試合後「冨安選手に“行け”って言われたら、行かないといけない」と話していたが、林氏もこの談話を引用し「センターバックにそういう選手が1人いると、全体で守備のスイッチが入る」と効果を口に。「前線に長いボールを入れられても、冨安が全部つぶしてくれるから、前線の選手も行きやすくなる。その好循環が生まれていた」と分析する。

 もちろん、課題の指摘も忘れない。攻撃ではボール保持率71.2%、シュート14本も放ったが、好機はそれほど多くなかった。林氏によると、チームの狙いは明確。ニアゾーンのゴール脇エリアの「ポケット」で、現代サッカーではここからの攻撃が重要とされる。実際、上田が前半6分に決めたPKもそのポケット攻略から生まれた。ただ、「前線のタレントは豊富だけど、攻撃は個に頼る属人的な感じには見える」といい、今後は「攻撃のバリエーションを増やし、選手が入れ替わってもチーム全体が同じ絵を描けるかが鍵」になるという。

 「左右からポケットに入ってきた時、逆サイドのポケットに入ってくる動きはあまりない。ポケットから逆サイドのポケットは、相手はつかみづらい。そこが使えるようになると、日本はもっと怖くなる」

 守備に関しては3試合で3失点のセットプレーも課題と指摘した林氏。強敵との対戦が待ち受ける決勝トーナメントへ「課題を徐々に修正できているので、良い形で進めると思う」と、さらなる成長に期待を寄せた。

 ◇林 陵平(はやし・りょうへい)1986年(昭61)9月8日生まれ、東京都八王子市出身の37歳。東京Vの下部組織出身で、明大を経て09年にトップ昇格。10年に柏へ移籍し、同年にJ2優勝、翌年にJ1制覇を経験。その後は山形、水戸、町田、群馬など主にJ2でプレーし、20年に現役引退。引退後は指導者と解説業をこなし、21~23年は東大ア式蹴球部(サッカー部)の監督を務めた。今年S級コーチ養成講習会を受講予定。1メートル86、80キロ。利き足は左。

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