CAS裁定は覆せなくても…まだまだ残るワリエワの“謎”の真相は早急に示されるべき

2022年02月15日 05:30

フィギュアスケート

CAS裁定は覆せなくても…まだまだ残るワリエワの“謎”の真相は早急に示されるべき
練習するワリエワ(撮影・小海途 良幹) Photo By スポニチ
 【藤山健二 五輪愛】ワリエワの出場を認めたCASの判断は予想外だった。WADAの「要保護者」規定は毎日一生懸命汗を流している普通のジュニア選手のためのもので、すでにシニアの選手として活動し、それによる収入も得ているはずのワリエワを、同じように「15歳だから」という理由で「責任なし」とするのは明らかにおかしい。これではスポーツの「公平性」や「フェアプレー精神」は否定されたも同然で、「16歳未満はドーピングOK」という誤った考えを広めることにすらなりかねない。
 ドーピングは長年にわたるスポーツ界最大の問題で、根絶するために選手や関係者は日夜あらゆる努力を重ねている。どの国でもジュニアを対象とする講習会や説明会が頻繁に開かれ、一流選手はたとえ10代でもきちんとしたドーピングの知識を持ち合わせているのが常識だ。

 検出された薬物の性質からしてワリエワが自分の意思で使用したとは思えないし、周囲の誰かが悪用した可能性は高い。しかし、ドーピングの根絶を目指す世界の潮流は今や「故意かどうかにかかわらず違反した者はそれ相応の対価を払うべき」というところまで来ている。当然、ワリエワと一緒に競技をすることになる他国の選手たちは複雑な思いを持つだろうし、それが大事な演技に悪影響を与えないとも限らない。スポーツの「公平性」や「フェアプレー精神」を守るなら、今回はワリエワの資格を一時的に停止し、その上で「要保護者」の規定を適用して停止期間を短縮すべきだったのではないか。

 CASの判断は最終決定で、これを覆すことはもうできない。しかし、どうしてワリエワから禁止薬物が検出されたのか、国家ぐるみの組織的な関与はあったのか、なぜ検査結果の判明が遅れたのか…。多くの人が抱いているこれらの疑問に対する答えは早急に示されるべきだ。うやむやにしてごまかすことは許されない。(特別編集委員)

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