馬場雄大の断固たる決意 世界相手に輝きNBAの舞台へ 8月開幕バスケットW杯
2023年06月13日 05:20
バスケット
ツーウエーは下部Gリーグの傘下チームとNBAを一定期間行き来できる契約。過去には渡辺雄太がグリズリーズ、ラプターズと締結して、21年4月のラプターズとの本契約につなげている。
馬場は22~23年シーズンはマーベリックスの傘下Gリーグ・レジェンズで主力として活躍。23試合出場(先発21試合)で、1試合平均34・3分プレーし、12・3得点、4・8リバウンド、2・1アシスト、3点シュート成功率40・3%を記録した。
世界で結果を出すため、昨夏からプレースタイルの変更に着手。従来はドリブルでゴール下に切れ込むドライブを得意とする“スラッシャー”だったが、外からのシュートを重視する“シューター”に転身した。
きっかけはホーバス監督との出会いだ。最初の合宿で「10回中7回ぐらいドライブするが、割合を逆にしてほしい。空いたら3点シュートを打ってほしい」と求められ、NBA入りにも必要な要素と考えて受け入れた。
人さし指を使わず、中指と薬指でリリースする悪癖を矯正するため指に輪ゴムを引っかけボールを放つ練習や、シュート軌道の高いアーチを意識するためにボードの裏からリングを狙うトレーニングを指揮官の提案で実施。シーズンを終えて4月に帰国後はホーバス監督とマンツーマンで練習する日が多く、戦術理解を深める期間にもなった。
W杯では「1試合平均5本は3点シュートを打ちたい。確率は高ければ高い方がいいが、40%が一つの目安になる。5分の2が最低ライン」とノルマを設定。ファンや報道陣に対して「昔はスラッシャーと言われていたが、シューターと言われれば言われるほどリアルになると思うので、皆さんからはシューターと言ってもらいたい」と呼びかけた。
昨秋からは「自分を一から変えたい」と、知人の紹介で瞑想(めいそう)を始めた。毎日1時間欠かさずに行い、シーズン中の遠征で午前3時ホテル発の移動を強いられた際にも午前1時に起きてルーティンをこなしたほどのめり込んでいる。時期を同じくしてボクシングジムにも通い始め、週2~3回のペースでミット打ちなどで汗を流す。最初は趣味のつもりだったが、フットワークやパンチを拳1個分でかわす動きはバスケに通ずるものがあり、ホーバス監督からも「あの動きはバスケに生きる」と言われているという。
前回19年W杯は5戦全敗で32チーム中31位。21年の東京五輪も3戦全敗で12チーム中11位に終わった。馬場が代表入り後は世界大会で一度も白星がない。今回の1次リーグはドイツ、フィンランド、オーストラリアと同組。格上ばかりだが、日本は過去4年間で全ての国と対戦しており「対戦経験のある国ばかりなのはプラス。19年W杯、東京五輪は初めて対戦する選手が多くて面食らった部分はある」と前向き。アジア最上位になれば24年パリ五輪切符を得るだけに「全部勝つつもりでいく。NBA選手に引けをとらずにやり合いたい。番狂わせを起こしてパリ五輪を決めたい」と力を込めた。
Gリーグの移動はバスはぎゅうぎゅう詰めで、飛行機はエコノミークラス。馬場がBリーグでプレーすればチームのエース格として、はるかによい待遇が望めるが、進む道に迷いはない。「結局は周りからの評価じゃなくて自分がどう決断するか。失敗を決めるのは自分。継続することは大切にしたい」。NBAクラブとの本契約はもちろん、ツーウエー契約も高いハードルだが、諦めたら、そこで試合終了。自分の可能性を信じて、自国開催のW杯でも一歩も引く気はない。
《馬場雄大アラカルト》
☆生まれ 1995年(平7)11月7日生まれ、富山県出身の27歳。3歳上の姉の影響で小学1年からバスケを始める。奥田中、富山第一高、筑波大。奥田中では八村塁の2学年先輩。右利き。1メートル98、90キロ。
☆Bリーグ 大学在学中の17年にA東京に入団。17~18年、18~19年にリーグ連覇を達成し、18~19年はCS決勝のMVP。17年の東アジア選手権で日本代表デビュー。
☆海外挑戦 19年7月にマーベリックスの一員としてNBAサマーリーグに出場し、同10月に傘下のレジェンズに加入。20~21年はNBLメルボルン・ユナイテッドでリーグ優勝。21年10月にレジェンズに復帰し、22年3月からは再びメルボルンでプレー。22~23年はレジェンズと3度目の契約。
☆家族 父・敏春氏もバスケ元日本代表で、富山第一高時代にはコーチとして指導を受けた。妻は女優の森カンナ(34)。シーズン中は単身で海外に渡る。
☆自炊 海外生活中はほぼ毎日自炊。試合日にチームから提供される食事も口にしない。土鍋でご飯を炊き、みそ汁は欠かさない。
《八村、渡辺は合宿参加未定》
W杯に向けた今年度最初の合宿メンバーは8人。馬場をはじめ、NBAドラフトのアーリーエントリー申請をして取り下げた富永らが名を連ねた。Bリーグのチャンピオンシップに進出してプレータイムの長かった富樫、河村らは今月下旬から合流する見通し。来季所属の決まっていないNBA組の八村、渡辺は現時点では未定で、参加可能な場合もNBAの規定で大会4週間前からの合流となる。
《1次リーグ同組全てと対戦あり》
日本は過去4年間でW杯1次リーグ同組の全3カ国と対戦している。ドイツとは前回W杯直前の19年8月24日に埼玉で強化試合を行い、86―83で勝利。当時も司令塔のシュレーダーらがプレーしていた。フィンランドとは東京五輪直前の21年7月11日に沖縄で強化試合を行い、71―76で惜敗。相手はエースのマルッカネンは出場していなかった。オーストラリアとは昨年2月27日と7月1日にW杯アジア予選で対戦し、64―80、52―98と、ともに大差で敗れた。
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