お蔵入りの危機も…「化粧まわしは頑張った証」紫雷に贈った埼玉栄・山田道紀監督と校長先生の親心

2023年06月14日 18:54

相撲

お蔵入りの危機も…「化粧まわしは頑張った証」紫雷に贈った埼玉栄・山田道紀監督と校長先生の親心
埼玉栄高で行われた化粧まわし贈呈式に出席した(左から)相撲部の山田道紀監督、紫雷、町田弦校長(撮影・前川 晋作) Photo By スポニチ
 大相撲名古屋場所(7月9日初日、愛知・ドルフィンズアリーナ)での再十両昇進が決まっている紫雷(しでん、31=木瀬部屋)が14日、母校の埼玉栄高で行われた化粧まわしの贈呈式に出席した。新十両だった昨年の初場所前に違法賭博関与の疑いがあることが発覚。師匠の木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)による判断で休場となり1場所で幕下に転落したが、そこから8場所を要しての再十両昇進となった。
 埼玉栄高は、紫雷の新十両昇進が決まった21年九州場所後に化粧まわしを発注。完成する前に不祥事による休場と幕下転落が決まったが、製作を続けて本人に贈った。日大を経て角界入りしてから8年かけて新十両に昇進した紫雷の苦労と努力を称え、同校の町田弦校長は「応援していこうということで贈呈した」と経緯を説明。相撲部の山田道紀監督は「化粧まわしは頑張った証。土俵に上がれなくても贈ろう」と、これまでのOB関取たちと同じように扱った。そこには、教え子を思いやる恩師の親心があった。

 新十両昇進直後に不祥事による休場が決まった時のことを、山田監督は「天国から地獄に落ちた」と表現。「この化粧まわしが“お蔵入り”になるのかな」という不安と、作ってくれた学校への申し訳なさ、そして一番つらい思いをしている紫雷を心配する気持ちが強かった。だからこそ「(もう一度)上がってくれたのはうれしい」と感慨深げだった。

 紫雷は高校3年時、相撲部の主将を務めてインターハイ団体優勝に導いた。同学年には安彦剣太郎(現幕内・剣翔)、佐々木大輔(現三段目・佐々木山)、1学年下には中村大輝(現幕内・北勝富士)、岩崎正也(現幕内・翔猿)と強豪選手ぞろい。「個性の強い選手たちをまとめられる力があった」と山田監督から主将を任されていた。辛抱強く真面目な性格はその頃から変わらないまま。失意の底から這い上がり、3度負け越しながらも8場所かけて関取の座を取り戻した。

 化粧まわしは“お蔵入り”を逃れ、名古屋場所の十両土俵入りでようやく日の目を浴びる。「紫雷の化粧まわしにはいろいろな意味合いがある」。これまで計26人もの関取を輩出してきた名将にとっても、特別な思いがこもった化粧まわし贈呈となった。

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