斎藤直人 ラグビー日本代表最小兵1メートル65 愛犬を溺愛するSHは9番を“譲ラン”
2023年06月29日 05:15
ラグビー
「一番の選手でいたい、というのが9番をつけたい理由。後半から出る役割もあると思うけど、9番を着たいし、一番のチョイス(最初の選択肢)でありたい」
桐蔭学園、早大と名門で主将を歴任したラグビーエリート。高校日本代表やU―20日本代表も経験したが、ジュニア時代は「具体的にW杯は想像できなかった」という。意識し始めたのは早大3年時の18年。日本代表予備軍「ナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)」に名を連ねたことがきっかけだった。
「テレビで見ていた選手がいっぱいいる中でラグビーをして、自分の中で少しU―20の時よりかは(W杯に)近づいたっていう感覚があった。“自分も狙えるんだ”っていう気持ちが少し芽生えた」
19年W杯日本大会は「いちファンとして」テレビ越しに日本代表を応援し、憧れの存在を目に焼き付けた。今は東京SGでも代表でも流とポジションを争う。「“ギスギスしてんじゃないの?”って言われることがあるけど、そこは全然なくて、仲がいい」と笑う。普段はキックについて助言をもらう間柄で、昨秋の欧州遠征の宿舎は同部屋だった。もちろん、グラウンドでは“戦闘モード”に入る。実戦形式で対峙(たいじ)する際は、接点でも「結構、激しくいってるつもり」と遠慮はしていない。気に掛けてくれる先輩へ感謝しつつ、9番を譲るつもりはない。
何事にも全力投球の25歳を癒やしてくれるのは、小学5年から実家で飼っているミックス犬のランちゃんだ。「可愛い」と溺愛しており、つかの間のオフは散歩に連れて行き、戯れる。かけがえのない存在となっている。
その愛犬に匹敵する?嗅覚が武器だ。「チャンスやピンチに顔を出せる嗅覚はあると思う。アタックではサポートが一つの武器」。昨秋のフランス戦では密集から抜け出したCTB中野をサポートし、早大―東京SG同期コンビの連係を生かして最後は自らトライ。配球やキックだけではない、トライにつながる仕掛ける力が本番でも期待される。
「見たことない景色で、9番として勝ちに導きたい」。憧れた夢舞台を9番という、一番の特等席で――。そこには“ワンダフル”な景色が待っているはずだ。
◇斎藤 直人(さいとう・なおと)1997年(平9)8月26日生まれ、横浜市出身の25歳。桐蔭学園―早大を経て20年にサントリー(現東京SG)入団。父親の影響で3歳からラグビーを始める。並行して4歳から水泳に8年間、サッカーは10年間打ち込んだ。高校と大学では主将を務めた。愛犬ランを溺愛。チョコレートが好物で梅干しが苦手。ポジションはSH。代表キャップ11。1メートル65、73キロ。
≪ポジション争いへ気合≫
斎藤は12日から始まった浦安合宿で第3クールまで順調に練習メニューを消化している。19年W杯代表の流、代表初招集の福田とのポジション争いも激化するが「9番をつけるために100%の準備をする」と気合十分だ。来月8日からは強化試合が始まる。「サインプレーは9番から始まる。間違えると全部が狂う」と実戦モードに突入している。
≪ライバルだが「一緒に成長」≫
現在の日本代表SHは斎藤のほかに8強入りした19年大会メンバーの流、初招集の福田が名前を連ねている。専門職のため、19年同様にW杯代表人数は3人が確実。今後は強化試合やテストマッチで先発を争う。浦安合宿の全体練習では3人が入れ替わりで戦術や攻撃形態を確認し、宿舎では一緒にプレー映像を視聴する“ハーフ会”を実施。流は「ライバルでありながらも、一緒に成長する」と切磋琢磨(せっさたくま)している。
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