【ラグビーW杯】松田、キック100% 6度コンバージョン全て成功 4年前の“第2の男”「10」で躍動

2023年09月11日 05:20

ラグビー

【ラグビーW杯】松田、キック100% 6度コンバージョン全て成功 4年前の“第2の男”「10」で躍動
<日本・チリ>後半、ディアンズのトライのゴールキックを確実に決める松田(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 【ラグビーW杯1次リーグD組   日本42-12チリ ( 2023年9月10日    トゥールーズ )】 2度目のW杯、通算6試合目で、ついに背番号10をもぎ取った松田が、6本のコンバージョンを全て決めるパーフェクトを達成。専門職のSOがリザーブに不在でフル出場も果たし、3大会連続の白星発進をけん引した。
 「簡単なゲームじゃなかった。初戦でしっかり一つになって、ジャパンのラグビーを続けた結果、勝利できたのでうれしい」
 信頼する仲間がつないだ前半8分のチーム初トライ。殊勲のファカタヴァに最初に駆け寄って祝福すると、右中間からのコンバージョンを落ち着いて決めた。7、8月の計6試合はキック成功率が50%(6分の3)。先発自体が2試合と李承信に過半数を譲ったが、経験値を買われて10番を任されると、その後も夏の不調がうそのように成功。「緊張はしたが、自分のキックを信じるだけだった」と胸を張った。

 昨年5月、リーグワンの試合で負傷し、左膝前十字じん帯を断裂。手術後は信頼を寄せるアスレチックトレーナーの佐藤義人氏と二人三脚で懸命なリハビリとトレーニングに励んだ。完全復活するため、自ら選択したのは険しい道のり。ひたすら歩き続ける「24時間連続ウオーキング」に挑戦。同氏の発案で疲労を軽減する正しい歩き方や踏ん張る力を養うための、足裏と指の強化が目的だった。

 昨年10月、一昼夜かけて岡山から広島まで踏破。「マジできつかった。今までで一番。自分と向き合う時間にもなった」という総距離75キロ、総歩数15万歩の苦行。「足裏が強くなり、スパイクの中でも指が使える手応えを感じるようになった」という感覚を呼び覚まし、リーグの昨季ベストキッカー賞に恥じない活躍を見せつけた。

 司令塔としても敵陣ペナルティーでもトライを狙うゲームプランを的確に遂行。「スコアできるジャパンのラグビーを証明できた」と話した。次は強豪イングランド戦。SOフォードとの“神の右足”対決も、今の松田なら打ち勝てる。

 ◇松田 力也(まつだ・りきや)1994年(平6)5月3日生まれ、京都府出身の29歳。伏見工(現京都工学院)、帝京大から17年にパナソニック(現埼玉)へ。大学4年の16年6月カナダ戦で代表戦初出場し、通算34キャップ。野球好きで憧れのアスリートは同世代の大谷翔平。趣味はコーヒーを豆からひくこと。試合前ルーティンはスパイク、キックティーを奇麗にすること。1メートル81、92キロ。

 ≪伏見工時代の恩師、高崎先生も歓喜≫SO松田の伏見工(現京都工学院)時代の恩師で、現在は京都奏和高で学校長を務める高崎利明氏(61)が教え子の活躍を喜んだ。

 この日は都内でラグビー関係者らと観戦し、日本の快勝を見届けた。W杯前最後の実戦だった8月末のイタリア戦ではキックで本調子を欠き心配していた高崎氏。

 本大会初戦で見事に完全復活した愛弟子に「次からが本番ですからね」とさらなる奮起を促していた。

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