「ONE TEAM」から4年― 合言葉の力でラグビー日本代表8強へ 今大会も勝利へのキーワード続々

2023年10月04日 04:50

ラグビー

「ONE TEAM」から4年― 合言葉の力でラグビー日本代表8強へ 今大会も勝利へのキーワード続々
“侍タイム”を耐え抜き、サモアに勝利し叫ぶ姫野(撮影・篠原岳夫) Photo By スポニチ
 日本代表はチーム独自の言葉を大切にしている。多国籍軍という背景もあり、首脳陣、選手、スタッフが目標や戦術を共有できるように数々のキーワードを生み出してきた。
 象徴的だったのは、今大会2勝目を挙げたサモア戦だ。先発予定だったSH流が負傷で離脱する不測の事態が起きたが、試合前にFW姫野主将は「みんなでデスゾーンまで来た。1人じゃない。絆がある。怖がらなくていい」と語りかけた。試合では、6点差となった終盤を「侍タイム」として意思統一し、乗り切った。

 日本代表では、優勝を目標に掲げる今大会までの歩みを、「エベレスト登頂」に例え、練習施設には選手たちが肩を組んで山頂を見上げるタペストリーを掲示。ジョセフ・ヘッドコーチは、大会本番を「デスゾーン」と訓示してきた。姫野はキーワードを「全員が同じ絵(方向性)を見ることができる」と重要視する。

 前回19年大会ではスローガン「ONE TEAM」で流行語大賞を受賞した。今大会も注目が集まる中、8日のアルゼンチン戦は勝てば2大会連続の8強入りが決まる大一番。固い絆で結ばれたOur Teamを合言葉に挑む。

 ≪Our Team≫昨夏の強化合宿中、選手を中心に話し合って決めたスローガン。19年大会のスローガンだった「ONE TEAM」を超えるという意味が込められており、プロップ稲垣は「自分たちで独自のチームをつくりあげていくという意味合いが強い」と説明する。

 ≪絆ナイト≫選手が気分転換するため、宿舎には「絆ルーム」と呼ばれるレクリエーション室が設けられている。卓球台やカードゲーム、ニンテンドースイッチが置いてあり、選手たちが息抜きの場として活用。コミュニケーションを取ることで、絆も深まる夜としている。フランカー下川によると「卓球は流さんが一番うまい」という。

 ≪デスゾーン≫W杯決勝までの道のりを、世界最高峰エベレストの過酷な登山ルートに重ね合わせ、一つのミスが命取りとなるW杯本番を意味して使っている。昨秋は基礎を固めるベースキャンプ、大会本番は酸素濃度が低いデスゾーンと表現。フランカーのリーチは「エベレストは失敗すると復活できない。それくらいの厳しさ」と受け止めている。

 ≪ブラザーフッド≫セットプレーが強いアルゼンチン戦に向けたFW陣のキーワード。「兄弟のような間柄」、「兄弟愛」という意味があり、苦楽をともにしてきた家族のような仲間とプレーを含めてつながりを深める意味を込めた。発案したプロップのミラーは「兄弟のようなつながりで連係し、ハードワークする」と説明した。

 ≪柱≫試合登録メンバー23人に入らない練習のサポートメンバーを意味する。昨秋の欧州遠征に参加していたフッカー日野剛志(静岡)が発案し、選手の話し合いで決定。チームは自陣22メートル以内での防御を「城を守る」と表現しており、フッカー坂手は「城は柱がないと崩れてしまう。一番大事な根幹の部分ということで生まれた」と説明する。

 ≪ソード(刀)賞≫ジョセフジャパンで各試合のチーム内MVPを指す言葉。19年大会から継続されている試合後の儀式で、該当者にはレプリカの日本刀がプレゼントされる。今大会第3戦のサモア戦では、右ふくらはぎを痛めて欠場したSH流に代わり、先発で勝利に導いたSH斎藤が選ばれた。

 ≪侍タイム≫試合の行方を左右する局面で耐える意識を高め、乗り越えるための合言葉。元々は「踏ん張りどころ」という意味でクラッチ(CLUTCH)タイムと言っていたが、今大会初黒星を喫したイングランド戦後に選手らで考え出した。サモア戦で追い上げられた終盤にコールをかけ、逃げ切った。宿舎に甲冑(かっちゅう)を持ち込むチームにとって、侍は戦う精神の象徴となっている。

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