本気で世界と戦うアスリートは、今すぐにでも海外へ飛び出そうや

2023年10月27日 18:20

アメフト

本気で世界と戦うアスリートは、今すぐにでも海外へ飛び出そうや
鳥内秀晃氏 Photo By スポニチ
 【名将・鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】ラグビーW杯の日本代表、惜しかったな。ええ試合してたけど、強豪国と比較すると、やっぱり選手層が薄いわ。日本は4試合したけど、主力選手でさえ体力的にきつかったもんな。選んだメンバー全員が試合で戦えるレベルでなかったら、準決勝、決勝までは行かれへんわ。特に今大会は、日本人プレーヤーの凄さみたいなもんが出てへんかった気がするな。
 世界の舞台で普通に戦うためには、選手はどんどん日本を飛び出すべきやで。外国人ばっかりいる中に一人で身を置いて、外国人慣れせなあかんし、自分という存在を主張して戦うことも必要やな。厚かましいくらいアピールせえへんかったら、向こうでは試合で使ってもくれへん。アウェーの環境に溶け込んで、それが当たり前のように生活できるようになって、初めて国際舞台でも平常心でやれるねん。W杯や五輪のような最高峰の大会なら、相当慣れてんと活躍なんて無理やわ。

 もちろん、海外でやるんやったら最低限、英語か、その国の言語は話せる方がええわな。あと日本の歴史や文化についても正しく理解して、自分の言葉で伝えられるようにならんかったら恥ずかしいで。将来、日の丸を背負って、世界で戦えるような才能を持ったアスリートは、どんどん海を渡って自分を鍛えてほしいな。

 もちろん、みんながみんな世界を目指すわけやないし、高校野球なら甲子園、高校ラグビーなら花園が目標でもかまへんねん。そういう才能や夢に応じた育成システムの構築が大事やと思うで。小学校から全国大会とかあると、それに勝ち抜くために指導者が頑張ってしもて、子どもの身体に悪影響を及ぼしたりとか、いろんな問題が起きるやろ。その競技に特化したトレーニング法やと、身体のバランスかて悪くなってまうやん。小学校の間は、いろんなスポーツの楽しさだけ教えてあげたらええんよ。勝敗にこだわったり、戦術を知るのは中学生になってからでも遅くないと思うで。

 そういう意味では、指導者も海を渡って、勉強するべきやな。アスリートをサポートするメンタルコーチの存在も重要やけど、違う環境で学んだら、言うことに説得力や幅が出てくるわけやん。若いうちに、いろんな経験したら、絶対に自分のためになるんやから、できるだけ早い時期に行動を起こすべきやで。

 スピード感が必要なのは政治も一緒やのに、相変わらず、この国は何をやるのも遅いな。ある宗教団体に対する解散命令を裁判所に請求したんはええけど、財産保全の問題が未だにクリアされてないのはどういうわけなん。裁判所が解散命令を出すか分からんでも、必要な法改正とか、同時進行でやっとかなあかんかったんちゃうの。例え命令が出ても、そこから執行までに何年もかかるんやから、その間に財産を売り飛ばされたら、だれが責任を取れるの?これ以上、被害者の方を失望させんといてほしいな。

 あと、大阪万博にしたかて、国や自治体は開催する意義や目的をもっとハッキリと我々に示してほしいな。巨額のお金が使われるみたいやけど、何で五輪とか大きなイベントをやると、最初の予算より額が倍とかになってまうの。当初のコンパクトな計画やったら国民や市民も納得するのに、丁寧な説明もなしに一気に額が上がるから、同意を得られへんねん。責任ある立場の人間が理由を明確にしてほしいな。

 イベントにお金を投じるより先に、今はインフラをちゃんと整備せなあかんのちゃう。高度成長時代に作った高速道路とか、橋、トンネルは60年くらい経って、老朽化が進んでるやろ。自然災害の多い国やねんから、いつ大事故が起きるか分からへん。政府は国民の命や財産を守るために、優先順位を考えてお金を使ってや。頼むで、ホンマ。(関西学院大アメリカンフットボール部前監督) 

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