プライオメトリクストレーニング「ボックスジャンプ」の効果とやり方。

2023年11月20日 09:00

プライオメトリクストレーニング「ボックスジャンプ」の効果とやり方。
地面から跳び上がり、高さのある箱(ボックス)あるいは台の上に着地する。それが「ボックスジャンプ」トレーニングです。 言葉で説明すると非常に簡単なこのエクササイズは、いわゆるプライオメトリクストレーニングの代表的な種目とな […]

地面から跳び上がり、高さのある箱(ボックス)あるいは台の上に着地する。それが「ボックスジャンプ」トレーニングです。

言葉で説明すると非常に簡単なこのエクササイズは、いわゆるプライオメトリクストレーニングの代表的な種目となっています。

ボックスジャンプは単純な動きですので、取り組みやすいでしょう。しかしその一方、誤解も生じやすくなっています。

とても有効なトレーニングである反面、やり方を間違えると本来の効果が上がらないばかりか、思わぬケガに繋がりかねません。

今回は、ボックスジャンプのやり方と注意点をご紹介します。

ボックスジャンプトレーニングの効果

速くて力強いパワーを発揮できるようになる

ボックスジャンプに代表される「プライオメトリクストレーニング」のおもな目的は、瞬発力と爆発的なパワーを高めることです。

筋肉にはいったん伸びると縮まるという特性があり、これは「伸張反射」と呼ばれます。

普段は無意識に働くものですが、この伸張反射のスピードをプライオメトリクストレーニングによって速めることで、より速くて力強いパワーを発揮できるようになるでしょう。

そのため、本来はスピードやジャンプ力を要求される競技スポーツ選手達の間でよく行われるアスリート向けのトレーニングですが、最近は一般のフィットネス・ジムなどでもよく見かけるようになりました。

ボックスジャンプのやり方

  1. ボックスの前に両足を揃えて立つ
  2. 軽く膝を曲げ、伸ばす勢いを利用して、高くジャンプする
  3. ボックスの上に両足で同時に着地する
  4. 膝と股関節を伸ばす
  5. 後方に片足ずつ下りる

両足でジャンプして下りてリズミカルに跳び上がる方法もありますが、アキレス腱断裂などの深刻なケガの可能性が高くなるため、ここではおすすめしません。

ボックスジャンプの注意点

高さにこだわらない

最初は低いボックスから始めて、慣れるにつれて徐々にボックスを高くしていきます。

ただし、高ければ高いほどいいというわけではありません。ボックスジャンプで重要なのは体の中心部をより高くに運ぶこと。台の上に着地するテクニックや柔軟性を磨くことではありません。

左の写真は20インチ(50.8cm)、右の写真は30インチ(76.2cm)の高さでボックスジャンプをしたところです。

ボックスの高さは1.5倍の違いがあるにもかかわらず、腰がもっとも高くなった位置はそれほど大きく変わりません。つまり、ジャンプが地面から自分の体を運んだ仕事量(距離×体重)はどちらもほぼ同じなのです。

心理的にはボックスが高くなった分だけ難易度が上がるように感じ、ジャンプの前に躊躇してしまうことがよくあります。ボックスが高いと余計に疲れる気がしますし、ジャンプに失敗することもあるでしょう。

しかし実のところ、ボックスが高くても低くても、物理的なトレーニング効果はそれほど変わらないのです。それならば、安心して跳べる高さでトレーニングするべきでしょう。

回数にこだわらない

トレーニングは、目標を定めないと取り組みにくいもの。しかし、ボックスジャンプの場合はそれにこだわらない方が無難です。

無理があると思ったら、回数を減らすかスピードを落としましょう。ボックスジャンプを疲労が高まった状態で行うと、集中力が低下し、すねをボックスの角にぶつけるなど思わぬ事故に繋がりやすくなります。

休息を充分にとる

トレーニング中はセット間の休息を充分に取りましょう。

ボックスジャンプに限らず、プライオメトリクストレーニングの目的は瞬発力の強化であって、スタミナ向上は副次的なものになります。

そして、ボックスジャンプは関節へのダメージもかなり大きいので、毎日行わないようにしましょう。高重量の筋トレと同じように、トレーニング間に休息日を設けることが重要です。

ボックスジャンプトレーニングは長時間、何回も行わない

回数を必要以上に増やすことは避ける

ボックスジャンプは単純に見えて、実はとてもハードで危険もあるエクササイズです。何回もジャンプを繰り返すと確かに心拍数は上がり、スタミナも向上します。

しかし、それを目的にしてしまうとケガの確率が非常に高くなりますので、注意が必要です。

ダイエット目的で長時間行うことは避ける

同じように、ボックスジャンプをダイエット目的で長時間に渡って行うことはおすすめしません。なぜなら、ジャンプすることでかかる膝や足首への負担が大きすぎるからです。

全米ストレングス&コンディショニングス協会のガイドラインでは、体重が100キロを超えた人に46センチ以上のボックスジャンプを禁じています。

ボックスジャンプは痩せるために行うのではなく、痩せたら取り組んでもよいエクササイズなのだと考えた方がよいでしょう。

なお、過去にハムストリングスやふくらはぎに肉離れなどの故障歴がある人も、決して無理な高さや回数で行わないでください。

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
公式Facebook

<Text & Photo:角谷剛>

おすすめテーマ

2023年11月20日のニュース

特集

スポーツのランキング

【楽天】オススメアイテム