朝乃山 中日復帰で初白星 大関・貴景勝の「綱」切った「必死さが伝わったらうれしい」

2023年11月20日 04:41

相撲

朝乃山 中日復帰で初白星 大関・貴景勝の「綱」切った「必死さが伝わったらうれしい」
朝乃山が下手投げで貴景勝(手前)を破る(撮影・中村 達也) Photo By スポニチ
 【大相撲九州場所8日目 ( 2023年11月19日    福岡国際センター )】 左脚痛から復帰した平幕・朝乃山が大関・貴景勝を下手投げで破り、初白星を挙げた。9日目の霧島戦に、大関連破を狙う。一方の貴景勝は2連敗で3敗目となり、場所後の横綱昇進が極めて厳しくなった。一山本が1敗を守り、単独首位。1差で霧島、豊昇龍、琴ノ若ら9人が追う。
 捨て身の投げに、朝乃山が思いを込めた。得意の左上手を3度取りにいったが、ふくらはぎをテーピングで固め、踏ん張りを欠く左足では届かない。貴景勝の突き押しに後退した土俵際では左下手が命綱だった。朝乃山が投げを打ち返すと両者土俵下へ。軍配は朝乃山。物言いがついたが、協議の結果は覆らなかった。

 「土俵に立てばケガは言い訳にできない。必死さが伝わったらうれしい。必死さを出していきたい」

 秋巡業中の10月28日に左ふくらはぎを肉離れ。「左腓腹筋(ひふくきん)損傷」で初日から休場した。5日目の朝から部屋の幕下相手に軽めの稽古を再開。復帰の土俵には大関時代に着けた紫の締め込みを選んだ。

 コロナガイドライン違反による1年間の出場停止処分を受ける前の一昨年夏場所まで着用していたもの。今年初場所での再十両以降は黒を着けていたが、三役復帰が目前の東前頭筆頭まで番付を戻し、秋巡業中から準備していた。念願の大関・朝乃山仕様だった。

 取組前の土俵下では手負いのまま上がることに足が震えたという。再出場を相談した担当医からは「(再度痛めても)責任は取れない」と告げられていた。心の支えは、場所前の2日、67歳で亡くなった先代師匠で元大関・朝潮の長岡末弘さんの教え「前へ出ろ」。「今日の相撲は怒られるかな」と反省したが、天国の恩師に白星を届けた。

 今日は霧島戦。連日の大関戦は取組編成を担う審判部の期待の表れ。「途中出場できた感謝を胸に上がりたい」。場内を最も沸かせる男が、帰ってきた。

 《貴景勝は3敗目》貴景勝は3敗目を喫し、場所後の横綱昇進は絶望的となった。取組後は「いつも通り」と冷静を装い「明日も頑張るだけ」と悔しさを押し殺しながら言葉を紡いだ。その後、目を閉じて下を向いたまま数秒。「今回が最後」と覚悟を決めて臨んだ綱獲り場所の窮地に、しばらく一人で考え込んだ。昇進を預かる審判部の粂川副部長(元小結・琴稲妻)は「気持ちが慌てている」と、負けられない状況の大関の焦りを指摘。先場所が11勝だったこともあり、まだ2場所連続優勝の可能性は残されているものの「平幕に3敗ですから…ちょっと厳しいよね」と見解を示した。

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