選手への手紙とモチベーションムービー 報徳学園が終盤一気で初戦突破

2020年07月19日 14:18

野球

選手への手紙とモチベーションムービー 報徳学園が終盤一気で初戦突破
初戦を突破した報徳学園 Photo By スポニチ
 【兵庫県大会2回戦   報徳学園8―1県西宮 ( 2020年7月19日    西宮市・鳴尾 )】 初戦は、伝統校でも強豪校でも難しい。コロナ禍で練習と実戦を満足に積めていないから、なおさら思い通りにはいかない。
 報徳学園は序盤から重苦しい展開。県西宮の右腕・岡崎の術中にはまり、難しいコースの変化球に手を出して打線が線にならなかった。最速142キロ右腕の坂口もカウントを苦しくしてリズムに乗れなかった。4回まで2―1。5回に途中出場の天野のセーフティーバントを口火に2点を挙げて一息つき、終盤に打線が畳みかけて8回コールド勝ちを収めたが、初戦の堅さは否めなかった。

 「ウオーミングアップからいろいろな制限があって、気を遣いながらの試合開始でした、。いつもはもっと声を出すのですが、我慢するところも多い。いつもと違う空気感だったので、いつもと違う動きでしたね」

 例年とは違う大会のムードを、大角監督はこう説明した。前日の練習試合はいい手応えで締めくくり、期待してこの日に臨んだものの、高校生らしく気持ちばかりが先行して、エンジンがかかるのに時間がかかった。8回119球、7安打1失点、2四死球9奪三振の右腕は「個人としては点数を付けられないくらい(悪い)。ストレート主体で投げるといいながら、変化球を使わざるをえなかった」と反省しきりだった。

 兵庫県の独自大会は8強までの戦い。目標が設定しにくい特殊な夏に向けて、大角監督は「伝統校なので、甲子園に出なくても下につなげる、下級生の模範になるように行動をするというのは毎日言ってきました」と訴えてきた。それでも「どこまでそれが続くか」、という不安があったのは正直な感想だ。

 確信が得られぬまま迎えた大会2日前に、チームの結束を目の当たりにする。3年生40人でのミーティング。気持ちが昂ぶり、涙を流す選手が何人もいたという。礒野部長がつくったやる気を引き起こす動画「モチベーションムービー」が涙を誘う一因になったそうだ。

 コロナ禍による休校中、礒野部長は選手1人1人に手紙を書いたと、大角監督は明かす。厳しさの裏にある情熱が選手に伝わるのは、自然な流れだろう。「甲子園がないかわいそうな代かもしれません。でも、一番愛情を注いでいる代です」。指揮官はそう力を込めた。一つ勝って、選手の肩の力も抜けたはず。伝統校が勢いに乗るのは、これからだ。  

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