選抜直前連載【新しい時代のはじめに(1)】腕ぶす9校 公立の隆盛再び

2021年03月16日 08:00

野球

選抜直前連載【新しい時代のはじめに(1)】腕ぶす9校 公立の隆盛再び
選抜における公立と私立の出場校数の変遷と勝敗(1) Photo By スポニチ
 第93回選抜高校野球大会は19日に甲子園球場で開幕する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年の大会が中止となり実質的に「令和初」の大会になる。1924年(大正13)から始まり「昭和」「平成」を経て“新たな時代”を迎えた選抜。過去を振り返りながら今大会の注目校や選手を4回で紹介する。
 昭和の時代に隆盛を誇った公立校が、甲子園大会で勝てなくなって久しい。平成以降の31度の選抜大会で優勝したのは1995年の観音寺中央(現観音寺総合)と2009年清峰の2校だけ。10年以降はさらに苦戦を強いられ4強以上も16年高松商と19年習志野(いずれも準優勝)、同年の明石商しかない。

 公立校が頂点に立つには88年宇和島東や先の観音寺中央のように強力打線に触発されて投手陣も奮起するか、85年伊野商の渡辺智男や清峰の今村猛のような絶対的エースが力で封じるか。令和も劣勢が予想される中、私立の壁に挑む9校で後者になり得る存在が習志野、明石商と同じ「市立」の市和歌山だ。

 エース右腕の小園健太は中学3年夏に「貝塚ヤング」で全国制覇。甲子園大会優勝経験がある強豪私学が興味を示す中で「公立校で日本一になる」といい世代No・1と言われるまでに成長した。最速152キロを誇るが精度の高い変化球に抜群の制球力も合わせ、1試合を少ない球数で完投できる。昨秋の近畿大会では2試合完投を含め3試合22イニングで失点1。救援した準決勝・智弁学園戦でも4回1安打無失点、6奪三振。今大会も出場する好投手の大阪桐蔭・松浦慶斗と関戸康介がともに打たれたことからも突出した力が分かる。

 ただ、公立の好投手が道半ばで力尽きた例が多いのも事実。最近では15年の県岐阜商・高橋純平が2試合連続完投も準々決勝・浦和学院戦で0―0の7回に3失点するなどし、敗れている。

 小園を援護したい打線は昨秋6試合で29得点(1試合平均4・83)とやや低調だったが、小園と中学時代にバッテリーを組み強豪私学の誘いを断った、高校通算30本塁打を超える4番・松川虎生(こう)に、後ろを打つ田中省吾、1番打者の河渕巧も昨秋公式戦で本塁打を記録するなど私学に負けない長打力もある。12年秋から指揮を執り今回が春夏合わせ5度目の甲子園となる半田真一監督(40)も「目標は優勝、といっても恥ずかしくない」と前回19年8強以上の手応えを感じている。

 09年清峰も前年秋のチーム1試合平均得点4・90で、大会では今村が全5試合に先発し1―0完封2度を含む3完封で4完投した。時代は繰り返される。あれから12年。絶対的な力での「再現」を狙う。

 ○…今回出場する公立校は4つの21世紀枠を含む9校。島からの出場で話題を集める大崎だが、昨秋の九州大会王者で実力も確か。清水央彦監督(50)は09年に優勝した清峰でコーチなどを歴任し佐世保実の監督として甲子園にも出場。初出場ながら上位を狙う。市和歌山と1回戦で対戦する県岐阜商も昨夏の交流試合でバッテリーを含めた甲子園経験者が残る。

 ◆選抜における公立と私立 全体の出場校に占める割合で私立が公立を初めて上回ったのは1975年。この時は4強を私学が初めて独占した。次に上回ったのは90年で同様に4強を独占。以降は私学勢の優勢が続き10年以降で公立が2桁出場したのは13年(12校)だけ。公立勢同士の決勝は95年観音寺中央―銚子商が最後。
 

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