【ROOKIES 猛虎ファイル】ドラ1下村(3) 忍耐の1年で成長

2023年12月21日 05:15

野球

【ROOKIES 猛虎ファイル】ドラ1下村(3) 忍耐の1年で成長
青学大の下村海翔 Photo By スポニチ
 阪神が今秋ドラフト会議で指名、獲得した8選手の足跡を振り返る。ドラフト1位・下村海翔投手(21=青学大)は「中学生」で所属チームを変えて投手に挑戦し、「高校生」で武器となるカットボールを学び、「大学生」で右肘手術を乗り越えた。身長1メートル74でも最速155キロまで成長した道のりとは。 (阪井 日向)
 【青学大時代】青学大での“忍耐の一年”に、ドラフト1位へと成長を遂げたきっかけがある。コロナ下でリーグ戦が中止された1年春に下村は社会人との練習試合で経験を積み、秋は主戦として2勝1敗、防御率1・93の好成績。順調なスタートを切りながら同年12月に右肘の痛みを訴え、クリーニング手術と軟骨再生手術を受けた。

 当初は半年以内とみられた復帰まで、結局1年余りを要した。「ボールを触れないときに、どうモチベーションを保つか。運動が好きだったんで走ったり跳んだり、トレーニングの一環として楽しみながらやっていた」。投手としてつらい期間でも23年ドラフトを見据えて何ができるかを考え、行動に移した。

 「もう、身体能力しかないと思っていた。体のサイズがない分、そういうところで勝負しようと。スピード、ジャンプ力はトレーニングで一番重点的にやった」

 金沢高(石川)3年春選抜での完全試合達成でも知られる青学大・中野真博投手コーチ(47)は「例えばバレーをやってみたり、バスケットでダンクできるようにやってみたり。目的を決めたら突き進める能力を持っていた」と証言。定期的な体力測定でトップクラスだった常広(広島ドラフト1位)や中島(楽天ドラフト6位)の数値に負けまいと身体能力の向上に励み続けた。

 「これで投手が無理なら野手をやろうかな、と。謎の自信ですけど。3年あれば140キロぐらい投げられると思っていたので、左投げにしようかな、と」

 4年時に選出された大学侍ジャパンでは50メートル走で最速。鍛えた下半身のバネや跳躍力が最速155キロへの成長の礎にもなった。長かったリハビリ期間。くじけそうになったときには安藤寧則監督(46)から度々かけられた「ブレてねえか?」の一言に救われた。

 「どういう思いで高卒プロより大学進学に変えたんだ?って。4年間でスケールアップしてって思いを持って見据えてきたはず。細かくは言わず、“ブレてねえか?”の一言だけ」

 安藤監督は“忍耐の一年”を「土台をもっと広げてやろうとやっていた。ピラミッドのてっぺんも、下が小さければ小さくしかできない。大きいピラミッドをつくろうと、あの期間をプラスに変えてくれた」と表現し、「投げるボールも明らかに変わった」とうなずいた。大きな体はなくても、プロ野球という大海原に飛ぶだけの強靱(きょうじん)な土台を備えた。

 ※ドラ1下村の稿は終わり

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